【前提条件】
親世帯(祖父・祖母)は十分な資産3億円、収入2,000万円があり、子である長男世帯・次男世帯それぞれも、生活水準を維持するのに十分な資産5,000万円・収入1,000万円を有している。長男・次男ともに生活状況や資力は同水準である。
■長男世帯(親と同居)
・親世帯と長男世帯は同居している。
・生活費(食費・水道光熱費・家賃)および孫の教育費は、すべて親世帯が負担。
・生活費と教育費の合計は両世帯併せて月額50万円(25万円ずつ)程度であり、実際に生活費・教育費に使用されたことを示すエビデンスがそろっている。
■次男世帯(別居)
・親世帯は別居している次男世帯に対し、長男世帯と同水準となるよう、生活費・教育費として月額25万円をその都度実費で支払っている。
・こちらも生活費・教育費に充当されたことを示すエビデンスがそろっている。
※援助額、各世帯の資力・生活水準は同等であり、異なるのは同居か別居かという点のみ。
【質問①】
親世帯が長男世帯の生活費・教育費(月額25万円)を負担している場合、これは親→子への贈与となり贈与税が課税されるかを確認したい。
(私見)
→ 月額25万円で、実際の支出エビデンスが整っている状況であれば、同居親族の生活費負担として「通常必要と認められるもの」に該当するため、贈与税は課税されないと考えている。
参考:国税庁資料(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sozoku/131206/pdf/01.pdf)
【質問②】
親世帯が別居している次男世帯の生活費・教育費(月額25万円)を負担した場合、これは贈与税が課税されるか。
(私見)
→ 月額25万円であり、支払エビデンスもそろっているため、社会通念上妥当な範囲と判断でき、「通常必要と認められるもの」として贈与税は課税されないと考えている。
(判断のポイント)
・同居親族の生活費負担は贈与税非課税とされており、資力の多寡は問われないと理解している。
・別居親族に対して資力のある子世帯へ生活費を負担することについては違和感があるものの、同居か別居かで「通常必要と認められるもの」の範囲が変わるのは不自然であるとの考えから、①②の結論に至っている。
【疑問点】
・「贈与税の課税対象とならない生活費・教育費に充てるための贈与」のうち、『通常必要と認められるもの』の判断基準は、生活費・教育費の金額(月額25万円)が社会通念上妥当かどうかで判断するのが適切か?
・長男・次男世帯ともに資力・収入が十分である以上、親世帯が扶養義務を負う状況ではないため、贈与税を課税すべきと判断するべきなのか?
・また、同居・別居の有無によって、贈与税の判定が異なることはあるのか?
これらについて見解を伺いたい。
※なお、本設例では「生活費・教育費として都度支出されていることが証明できること」を前提とした質問である。




