【関係者】
T社は飲食店を営む会社で、●月決算です。株主は代表者の親族1名です。
S社は小売店を営む会社で、▲月決算です。こちらも株主は代表者の親族1名ですが、T社の株主とは別の人物です。
なお、T社とS社の代表者は同一人物です。
【これまでの経緯】
当職は、T社の会社乗っ取り事件を担当した弁護士の先生を通じて、T社およびS社の直近1期分の申告業務のみ、申告期限が間近に迫った段階で受任しました。
その後、期限内に申告を完了し、代表者本人に手交する形で請求書を交付しましたが、T社については決算報酬を受領したものの、S社については決算報酬約150万円を受領できていません。
そのため、繰り返し支払いを催促しましたが、支払いがなかったことから、支払督促を申し立て、その後、通常の訴訟手続へ移行しました。
ところが、裁判手続において、S社から破産手続開始の申立てを行った旨の答弁書が届きました。
なお、T社については、現在も営業を継続しているようです。
【T社とS社の資金管理等について】
過去の会計帳簿を確認したところ、代表者は以前からT社とS社の預金口座を同一視していたようで、請求先がどちらの会社であるかにかかわらず、その時点で預金残高のある会社の口座から代金を支払ったり、T社とS社の口座間で資金移動を行ったりしていました。
また、T社とS社との間で資金を移動する際には、金銭消費貸借契約書を締結しておらず、両社間の会計上の債権・債務についても、全く金額が合っていない状況でした。
直近のT社の決算書を確認すると、S社に対する貸付金が約700万円計上されており、T社からS社へ資金を移動したものと推測されます。
さらに、代表者は決算書の内容を十分に理解しておらず、各勘定科目の内容について尋ねても、「詳細は分からない」と回答するばかりでした。
実際の売掛金残高についても正確に把握しておらず、実態とは大きく異なる過大な売掛金を計上するなど、会社の実情を十分に反映していない決算書を作成していました。
【質問】
1.このような事情を踏まえると、代表者について特別背任罪が成立する可能性があるのではないかと考えていますが、先生のご見解はいかがでしょうか。
特に、T社からS社への資金移動や、両社の預金口座を区別せずに資金を使用していたこと、T社の決算書上でS社に対する貸付金が計上されていることなどを踏まえた場合、特別背任罪の成否についてどのように考えるべきでしょうか。
2.先にT社の会社乗っ取り事件を担当した弁護士の先生に相談・連絡しても、現在はその弁護士の先生自身も債権者であるためか、状況が全く進展していません。
そこで、現実的な解決策としては、
・先生に依頼し、代表者との間で示談金等の支払いを受けるための交渉を行う
・今回の資金移動等の事情を踏まえ、代表者について特別背任罪が成立する可能性を検討したうえで、刑事告発を行う
といった方法が考えられるのではないかと思っています。
このような状況において、未払いとなっている決算報酬を回収するための現実的な対応策として、どのような方法を取ることが考えられるでしょうか。



