当事務所で受任した相続税申告について、相続人AおよびBから、いったん成立した遺産分割をやり直したいとの申し出がありました。
今回の相続については、以下のような状況です。
・相続人は2名で、被相続人の配偶者Aと子Bです。
・AとBの関係は良好で、Bは成人しています。
・相続税の申告・納付については、法定期限内に問題なく完了しています。
・今回、遺産分割をやり直したいとの申し出があったのは、相続税の申告期限が経過した後です。
今回の申し出の内容は、当初の遺産分割協議においてAが相続することとした上場株式について、AではなくBが相続する形に変更したいというものです。
対象となる上場株式については、以下のような事情があります。
・相続税評価額は数十万円程度です。
・株式には多額の含み損があります。
・含み損を抱えた状態のままBが株式を相続し、Bの所得税の計算上、損益通算や繰越控除を行いたいというのが、今回の変更を希望する理由です。
・証券会社における上場株式の名義変更手続きは、現時点では完了していません。
この点について、税理士としては、原則として一度成立した遺産分割を後からやり直すことはできず、仮にAからBへ財産を移転するのであれば、税務上は贈与として取り扱われる可能性があることを説明しました。
しかし、ヒアリングを進める中で、当初作成した遺産分割協議書について、実際にはAがBの署名・押印も行っていたことが判明しました。
当時は郵送による書類のやり取りであったため、税理士である当方の面前でB本人が署名したものではなく、当方ではBの署名について不備があることに気付いていませんでした。
もっとも、AとBの関係は良好であり、AがBに無断で勝手に署名したというよりも、Bの意思に沿ってAが署名を代わりに行った、いわば代筆に近い感覚で署名したという状況ではないかと考えています。
そこで、以下の点についてご教示ください。
① B本人が署名していなかったという署名上の不備を理由として、当初の遺産分割協議を無効とし、相続税について修正申告をすることは可能でしょうか。
② 上記のように、B本人が署名していなかったことを理由として遺産分割協議の効力を争う場合、署名がB本人によるものではないことを証明するためには、どのような方法が適切でしょうか。
なお、仮に遺産分割協議を無効として修正申告を行った場合の税額については、以下のように見込んでいます。
・Bについては、数万円程度の追加納付額が発生する見込みです。
・Aについては、配偶者に対する相続税額の軽減の範囲内となるため、修正後も相続税額に変動はなく、税額は0円のままとなる見込みです。
今回の対応については、将来的にBが所得税の申告において、当該上場株式に係る損益通算や繰越控除を行った際に、税務上の取扱いについて否認される可能性も懸念しています。
また、将来そのような否認がされた場合に、当初の遺産分割協議書の作成や今回の修正申告に関与した税理士側に責任が問われる可能性についても危惧しております。



