税理士の先生より「シンガポールの法人の買収における注意点」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。
質問
顧問先から、シンガポールの法人を5,000万円で買収することに関する相談がありました。
所在地:シンガポール( 1 か所のみ)
今回、顧問先である内国法人が個人株主に5,000万円を支払い、すべての株式を取得するスキームで進んでいましたが、買手役員の中から、「現地法人はすべての株式を個人株主から買い取り自己株式とし、内国法人は現地法人から買い取るのが良いのではないか」との意見が出ました。
何らかの裏付けがあるものではなく、何となく個人に大金を払うことに抵抗がある程度の思いに起因します。
上記の場合、売手の違いにより有利不利はありますか。
回答
法人が買主になる場合に売買価格と時価との差額がある場合の、法人個人での税務上の取扱いの違いについては特にコメントするまでもないと思いますので、それ以外についてコメントします。
M&Aにおいては、会社という存在自体が取引の対象となりますが、会社は不動産などの現物と異なり、瑕疵が見えにくく、後日発覚することもあります。
決算書の内容が真実と異なっていたり、隠れた保証債務や過少申告等がある場合などです。
そのために、株式譲渡契約書に表明保証条項を入れて、後日の損害賠償請求権を確保しようとします。
今回の場合、一度自己株式にしてしまうと、売主が購入対象会社自体となり、表明保証するのもその会社となり、損害賠償請求権を確保できなくなります。
(購入対象会社が個人から株式を買うので、その場合には、購入対象会社が個人に対して損害賠償請求できるのではないか、という疑問があるかもしれませんが、瑕疵があるのは、購入対象会社となりますので、その瑕疵を当然に知っている前提で購入した、ということになってしまい、損害賠償請求権は成り立たないこととなると思います。)
したがって、法的な観点からは、・・・
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