次のようなケースにおける譲渡所得の取扱いについてご相談です。

<前提条件>
令和4年9月、母が生前に売買契約を締結し、手付金を受領。
同年年11月に建物を解体完了(母は解体直前までこの家屋に居住。その後、老人ホームへ入居予定だったが体調を崩し入院)。
同年12月に母が亡くなり、長男が土地を相続
令和5年2月に所有権移転登記が完了

続く3月中に長男が令和4年分の準確定申告を行い、譲渡所得については申告を行っていません。

上記の状況において、次の点を確認したいです。

① 長男の令和5年分の譲渡所得において、空き家の3,000万円控除を適用できるか。
② 母の令和4年分準確定申告について、契約日基準で譲渡所得を申告する修正申告は可能か。
③ 上記②が認められる場合、居住用財産の3,000万円控除を適用できるか。

<調べた内容>
① 空き家の3,000万円控除は、「被相続人居住用家屋」および「被相続人居住用家屋の敷地等」を取得することが要件とされています。
本件では相続発生前に家屋を取り壊しているため、適用できないものと考えられます。

② 所得税基本通達36-12では、譲渡所得の収入すべき時期は「資産の引渡日」が原則ですが、納税者の選択により契約の効力発生日に基づく申告も認められます。
ただし本件では、相続人が準確定申告において譲渡所得を申告しておらず(=引渡日基準を採用)、すでに申告期限を経過していることから、契約日基準での修正申告はできないと考えられます。

なお、契約日基準を選択する場合の期限について明確な根拠は見当たりませんでしたが、平成16年度改正時の国税庁公表事務連絡において、「契約日基準の選択は原則として当該契約日の翌年3月15日(確定申告期限)まで」との記載を確認しています。

③ 仮に②が認められたとしても、居住用財産の3,000万円控除には「当初申告要件」があるため、準確定申告をすでに行っている場合には適用できないと考えられます。

<ご相談事項>
以上を踏まえると、長男の令和5年分の確定申告においては、特例の適用なし(相続税が課税されていないため取得費加算もなし)で譲渡所得を申告するしかないように思われます。

この解釈に誤りや見落としがあれば、ご指摘いただけますと幸いです。

回答

この質疑応答の全文については、【税務質問会】に入会すると読むことができます

>>>初月無料の「税務質問会」の詳細はこちら


おすすめの記事