【ご相談内容】
経営コンサルタント会社に勤務していたAさんは、R4に退職した後、個人事業として経営コンサルタント業を開始しました。
その際、前勤務先とは専属委嘱契約を締結していますが、Aさんには元の会社以外にも個人的に複数のクライアントがおり、専属契約でありながら他の取引先を持っている点については契約違反の可能性があるものの、今回の相談ではそこは主題から外しています。
Aさんは R4・R5 の2年間は個人事業として活動してきましたが、R6から法人成りすることを検討しています。
しかし、前勤務先が「個人との契約しか受けない」という方針であるため、法人化後も契約名義だけは個人のまま継続しつつ、その収入を法人の売上とすることに問題がないか懸念しています。
【私見】
所得税法基本通達12-2では、所得の帰属は「取引名義」といった外形ではなく、実質的にその事業を経営している者が誰かによって判断するとされています。
この考え方からすると、法人として適切に事業を運営し、法人で申告しているのであれば、外形上の契約名義が個人であっても、それを個人の売上とみなされる可能性は低いのではないかと考えています。
なお、法人成立後も数年間は前勤務先からの売上比率が高くなる見込みですが、その他のクライアントについては法人契約に切り替え、法人として事業を行っていく予定です。そのため、全体としては法人の事業として成立すると捉えられ、特段問題にならないのではないかと判断しています。
一方で、前勤務先との契約が個人名義のままである点や、これまでAさんが個人事業として申告していた経緯を踏まえると、最終的な判断に迷いがあります。
この点について見解を伺いたいと考えています。




