X社は現在、消費税の課税事業者であり、課税売上割合等の状況から仕入税額控除は全額控除となる見込みです。
今期、代表取締役の社宅として居住用賃貸建物(マンション一室)を取得しました。
この建物を代表取締役へ無償で貸し付ける場合、当該建物にかかる仕入税額控除の可否について検討しています。
国税庁Q&A「社宅に係る仕入税額控除」(※1)や、月間税理(※2)、税務通信(※3)などの解説を見る限り、無償提供の場合は仕入税額控除が可能との整理が示されているように思われます。
ただし、無償の場合に仕入税額控除を認める法解釈について、次の点で疑問があります。
(1)
居住用賃貸建物に係る控除制限を定める消費税法30条10項では、建物の範囲を別表第二第13号に求めています。
月間税理の熊王氏は、ここから消費税法6条 → 2条1項8号へ論理を接続し、「無償貸付けは『資産の譲渡等』に該当しないため、非課税となる住宅の貸付けにも該当せず、結果として居住用賃貸建物に該当しない」という解釈を提示しています。
しかし、私としては、30条10項が単に建物の定義を別表に求めているだけで、そこから6条へ論理を接続する構造がやや不自然に思われます。
無償貸付時の仕入税額控除の可否について、熊王氏の解釈が一般的な理解として妥当なのかをお伺いしたいです。
(2)
国税庁Q&Aでは「社宅の取得時点で無償で提供することが客観的に明らかな場合」には居住用賃貸建物に該当しない、と示されています。
税務通信の記事では、そのための対策として「取得時までに規約等で無償提供であることを明記するべき」と説明されています。
これらは従業員向け社宅を前提とした記述ですが、今回のように代表取締役への無償貸付けの場合でも、同様の対策で足りるのでしょうか。
以上、2点についてご教授いただければ幸いです。




