顧問先であるA社では、現在、以下のような取引および税務上の処理を行っています。

いずれの取引についても税務上のリスクがあるため、弊所からA社に対してその内容を説明し、A社としても税務リスクがあることを承知した上で、希望する処理を行うという形になっています。

そこで、後日の証拠資料として、A社と弊所との間で、税務リスクについて説明を受けたことや、そのリスクをA社が了承した上で当該処理を選択したことを確認するための合意書を作成することを考えています。

このような合意書を作成しておけば、弊所が税務上のリスクについて十分な説明を行ったことを示す資料となり、税理士としての善管注意義務を果たしたと考えることができるでしょうか。

【取引1】

A社の取締役が居住している賃貸物件について、A社が「地代家賃」として経費処理しています。

この賃貸物件については、契約者がA社となっているため、A社の取締役が居住することによって経済的利益が生じることから、A社の取締役の給与から賃料の一部相当額を控除しなければ、給与として課税されることを説明しています。

また、当該物件については、いわゆる豪華役員社宅には該当しないことも確認しています。

その上で、A社には給与課税される可能性があることを説明していますが、A社はそのリスクを承知した上で、給与課税を行わず、引き続き「地代家賃」として処理することを希望しています。

さらに、給与課税されることとなった場合には、法人税法上、損金不算入となる金額が発生する可能性があることについても説明しており、A社はその点についても了承しています。

【取引2】

A社の取締役に対する賞与については、親会社の決定などにより、事前に支給額や支給時期を確定することができず、突然、賞与を支給することがあります。

そのため、弊所からA社に対して、こうした賞与については、事前確定届出給与に関する届出によって対応することができない旨を説明しています。

これについてもA社はその内容を了承しており、事前確定届出給与として損金算入することができない場合には、法人税法上、役員賞与を損金不算入として処理することについても了承しています。

上記2つの取引について、A社が税務上のリスクおよび法人税法上の取扱いについて説明を受け、その内容を理解・了承した上で、希望する処理を選択したことを明確にするため、以下のような合意書を作成しておこうと考えています。

このような合意書をA社との間で取り交わしておくことにより、A社が税務リスクを認識した上で処理を選択したことの証拠資料として、また、弊所が必要な説明を行ったことを示す資料として、税理士としての善管注意義務を果たしたことを立証する上で有効と考えてよいでしょうか。

【合意書案】

A社と税理士●●氏は、以下の処理について、税理士●●氏がその内容および税務上のリスクについて詳細に説明を行ったことを確認し、甲は、税務リスクがあることを受け入れた上で、次の処理を行うことに合意した。

1.取締役の居住する居宅

処理方法:給与課税を行うことなく、一般経費の「地代家賃」として処理すること。

税務リスク:将来行われる税務調査において、取締役に対する役員報酬として給与課税されることにより、法人税法上、損金不算入となる金額が発生する可能性があること。

2.取締役に対する賞与

処理方法:事前確定届出給与に関する届出を行わず、法人税法上の処理として、役員賞与分を損金不算入として処理すること。

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