【前提】

遺言者は母です。
推定相続人は、長男・二男・三男の3名です。

母としては、現在同居している長男に、他の兄弟より多く財産を残したいという意向があります。

そのため、遺言内容としては、長男に全財産を相続させる一方で、そのうち金および預金の合計額の3分の1に相当する現金を、長男から二男・三男へそれぞれ代償金として支払わせる内容を検討しています。

【分割方法について】

このように、遺言において、長男に全財産を取得させたうえで、他の相続人へ代償金を支払わせるという、いわゆる代償分割に近い内容を指定することは可能でしょうか。

また、代償金について、具体的な金額を固定して記載するのではなく、
「金および預金の合計額の3分の1に相当する現金」
という形で定めたいと考えています。

この場合、どのような記載方法が適切でしょうか。
また、実務上の注意点にはどのようなものがありますでしょうか。

私自身としては、以下のような点が気になっています。

まず、相続財産には不動産も含まれているため、金および預金のみを基準とした代償金額では、二男・三男の遺留分に満たない可能性が高く、後日、遺留分侵害額請求を受けるリスクがあるのではないかと考えています。

また、金(ゴールド)の評価額については、後日の争いを避けるため、相続税評価額を基準とするなど、評価方法を明確に定めておく必要があるのではないかと思っています。

さらに、代償金を送金する際の振込手数料についても、長男負担であることを明記しておいた方がよいのではないかと考えています。

【特別受益の持戻し免除について】

今回の遺言内容では、長男が他の相続人より多く財産を取得することになるため、実質的には特別受益に該当する場面になると考えています。

もっとも、仮に遺言書に「特別受益の持戻しを免除する」旨を記載したとしても、遺留分算定においては結局計算対象に含まれるものと理解しています。

その場合でも、遺言に特別受益の持戻し免除条項を入れておく実益やメリットはあるのでしょうか。

なお、本件では、生前の特別受益に関連し得る事情として、母名義の不動産に母と長男が同居しています。
同居開始は3年前からであり、それ以前は既に亡くなった父名義の不動産でした。

そのため、長男による不動産の無償使用について、特別受益に該当する可能性もあるのではないかと考えています。

この場合、仮に遺言で特別受益の持戻し免除を定めておき、その後、母がさらに7年以上生存した場合には、結果として10年を超える部分については遺留分算定の基礎財産に含まれず、かつ、全期間について特別受益として持戻し計算をしなくてもよい、という理解になるのでしょうか。

また、そもそもの疑問として、今回のように遺言によって全財産の分割方法が具体的に指定されている場合には、「特別受益を持戻して相続分を調整する」という考え方自体が、どのような場面で意味を持つのかがよく理解できていません。

全財産の取得方法が遺言で定められているのであれば、そもそも特別受益の持戻し計算自体が適用されないという整理にはならないのでしょうか。

回答(税理士を守る会)

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