顧問先において、同族会社の行為計算の否認の対象となる可能性が高いと考えられる取引を検討しています。

取引の概要および現在の状況は、以下のとおりです。

【取引の概要】

・令和◯年に、個人が所有していた賃貸不動産(土地・建物)を同族会社に売却しました。
・売買代金については、個人からの借入金によって支払われたこととしていますが、実際には金銭の授受は行われていません。
・現在に至るまで、当該借入金の返済は一切行われていません。
・その後、建物の減価償却費などの計上により、この数年間で多額の繰越欠損金が発生しています。
・納税者は、この繰越欠損金の範囲内で、個人からの借入金について債務免除を行いたいと考えています。

なお、過去に賃貸不動産を譲渡したことや、今後、借入金の債務免除を行おうとしていることについては、個人の相続税を圧縮することが目的であり、その点は本人も明らかにしています。

【当方の対応と納税者の意向】

当方では、借入金について一度も弁済が行われていない状態で債務免除を行うことは、経済的に見て合理性が乏しく、同族会社の行為計算の否認の対象となるリスクが高いと考えています。

そのため、納税者に対して、以下の点を説明しています。

・借入金を一切返済しないまま債務免除を行うことは、同族会社の行為計算の否認の対象となるリスクが高いこと。
・仮に債務免除を行うとしても、できる限り会社が借入金を弁済するための手段を尽くした後に実施するべきであること。

しかし、納税者は、こうしたリスクについて説明を受けたうえでも、なお債務免除を実行したいという意向を示しています。

【質問】

① 納税者の意向に従って債務免除を実行し、決算・税務申告を行った場合、将来、同族会社の行為計算の否認を受けると、税理士が懲戒処分の対象となる可能性はあるでしょうか。

当方としては、否認リスクが高いことを納税者に説明していますが、納税者はそのリスクを承知したうえで債務免除を行いたいと考えています。

このような状況で、納税者の意向に沿って債務免除を実行したうえで決算および税務申告を行い、将来、税務当局から同族会社の行為計算の否認を受けた場合、税理士法上の懲戒処分など、税理士側に何らかの不利益が生じる可能性はあるのでしょうか。

② 納税者から免責に関する書面を取得しておくべきでしょうか。

納税者は、否認リスクについては十分に承知しており、債務免除を実行した結果、追加の税負担が生じたとしても、税理士の責任は問わないと述べています。

しかし、相続発生後になって、今回の取引に関する税務上のリスクが顕在化する可能性も考えられます。

このような事情を踏まえ、将来の税理士の責任をめぐるトラブルを防ぐためにも、今回の債務免除に伴うリスクについて納税者に説明したことや、納税者自身の判断で実行すること、追加の税負担が生じた場合に税理士の責任を問わないことなどを記載した書面を取得しておいたほうがよいでしょうか。

また、書面を取得する場合には、どのような内容を記載しておくべきかについても、ご教示ください。

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