今回は、税理士が、妻を青色事業専従者として、給与を事業所得の金額の計算上必要経費に算入して確定申告としたところ、「労務の対価として相当であると認められる金額を超える」として、更正処分がされた事例をご紹介します。
鳥取地裁平成24年6月22日判決です。
事案
税理士は、次のとおり給与を支払いました。
【妻に支払われた給与】
平成16年 1240万円
平成17年 1280万円
平成18年 1280万円
【他の使用人の平均給与額】
平成16年 357万9167円
平成17年 384万2250円
平成18年 360万8375円
【処分行政庁が抽出した類似業種青色事業者専従者給与】
平成16年 285万4490円~663万円
平成17年 296万4160円~663万円
平成18年 301万7320円~663万円
裁判所の判断
裁判所は、労務の対価として相当かどうかは、次の基準で判断する、としました。
●その給与の金額でその労務に従事した期間労務の性質
●その提供の程度
●その事業に従事する他の使用人が支払を受ける給与の状況
●その事業と同種の事業でその規模が類似するものに従事する者が支払いを受ける給与の状況
●その事業の種類及び規模並びにその収益の状況
本件では・・・
妻は、長年の経験から専門性を発揮し、他の使用人の指導的立場にあり、長時間労働をするなど、他の使用人の給与とは異なってしかるべきとされました。
しかし、税理士事務所の所得金額とほぼ同額が妻に給与として支払われていた、という特殊事情がありました。
そこで、裁判所は、
「税理士事務所は、税理士法に基づき、税理士の名称および資格において経営するものであり、使用人は、最終的には税理士の監督に服することを前提にしている。」
→ 専従者給与の金額と税理士の事業所得の金額がほぼ等しいのは不相当
として、必要経費として認めませんでした。
これで終わりではありません。
その後、裁判所は、いくらが適正額か、まで判断します。
●関与先の会計業務の担当件数は、税理士5分の3、妻5分の2
●妻が特に業務が困難な医療法人等の会計業務を一人で行ってきた
以上の理由から、
【税理士の事業所得金額と専従者給与額の割合は、3対2が合理性を有する。】
先生方の中にも配偶者を青色事業専従者として、その給与を必要経費に算入している方がいらっしゃるかと思います。
一つの参考にしていただければと思います。
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