車両信託契約書
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この書式は、車両信託契約書のひな形です。
書式の一部抜粋(本文)
車両信託契約書
委託者○○株式会社(以下「甲」という)と受託者○○信託銀行株式会社(以下「乙」という)は、以下のとおり車両信託契約を締結した。
第1条(信託の目的) 甲は、末尾記載鉄道車両(以下「信託車両」という)を、○○株式会社(以下「丙」という)に対して売却並びに売却に至るまで賃貸せしめることを目的として、乙に信託し、乙はこれを引き受けた。
第2条(信託財産の追加) 甲は乙の承諾を得て信託財産の追加をすることができる。
第3条(信託の表示) 信託車両については信託財産である旨の表示を付するものとする。
第4条(元本並びに収益) この信託においては信託車両、その売却代金、信託車両の減価償却相当分及び信託車両の代償として取得した財産を元本とし、信託事務の処理上取得した財産であって元本以外のものを収益とする。
第5条(受益者並びに受益権) この信託の元本並びに収益の当初の受益者は甲とする。
2 前項の受益権は乙の承諾を得て、これを譲渡又は質入することができる。
第6条(信託車両の賃貸と売却) 乙は、丙に対し、信託車両の賃貸と売却処分の手続を行うものとする。
2 賃貸と売却処分の方法、時期、価格その他条件についてはあらかじめ甲の承認を得るものとする。
第7条(信託車両の保全、補修) 賃貸中の信託車両の保全、補修は賃借人に負担せしめ、乙は甲に対してその責を負わないものとする。
第8条(公租公課) 賃貸中の信託車両に関する公租公課等は賃借人にこれを負担せしめるものとする。
第9条(善管注意義務) 乙は、この信託事務について善良な管理者の注意を怠らない限り、原因の如何に拘わらず一切の損害についてその責を負わないものとする。
第10条(信託の計算) 毎年3月26日より9月25日まで、及び9月26日より翌年3月25日までを計算期とし、乙は、各期末に当該期の収支計算書を作成して受益者に報告する。
2 この信託が終了したときは、乙は最終計算書を作成し、受益者の承認を得るものとする。この場合最終計算期以前の収支計算は、記載を省略することができる。
第11条(元本並びに収益の支払) 乙は元本についてはこれを収受した時に、収益については各計算期の翌日以降に受益者に対し金銭をもって支払うものとする。
2 信託契約期間満了時における残存元本並びに収益についてはその翌日以降に受益権証書と引換えに金銭をもって受益者に支払う。
第12条(信託財産に属する金銭の運用) 信託財産に属する金銭は、これを受益者に交付するまでの間、運用方法を同じくする他の信託財産に属する金銭と合同して又は単独に貸付金、手形割引、預金又は有価証券に運用することができる。
第13条(諸費用の負担) この信託事務の処理上必要な諸費用及び立替金並びに立替金利息、信託事務を処理するために乙に過失なくして受けた損害の賠償は甲の負担とし、乙はこれを信託財産中より支弁し若しくは取得することができる。
2 前項の立替金利息は年○パーセントの割合とする。
第14条(信託契約期間) この信託契約期間は、令和○年○月○日から令和○年○月○日までの○年間とする。
第15条(契約の終了) この信託車両の元本並びに収益の全部を金銭を以て受益者に交付したときは、信託契約は期間満了前といえども終了するものとする。
第16条(契約の解除) この信託契約は契約期間中これを解除することができない。ただし、第21条の場合には甲及び乙はこの契約を解除することができ、やむを得ない事由により、信託目的の達成若しくは信託事務の遂行が著しく困難又は不可能となったときは、乙はこの契約を解除することができる。
第17条(信託報酬) 信託報酬は元本の信託価額に対し年○パーセントの割合とし、各計算期末及び信託終了のとき、信託財産の中よりこれを差し引くものとする。ただし、甲に対してその一部又は全部を請求することができる。
2 前項の信託報酬率は、甲乙間の協議によりこれを変更することができる。
第18条(印鑑の届出) 甲及び受益者は、それぞれの印鑑を乙に届出なければならない。
2 受取証その他の書類に押印された印影を前項届出印鑑に照合し、相違ないと認めて乙が信託財産の交付その他の処理をしたときは、事情の如何にかかわらず乙は、それによって生じた損害について責任を負わないものとする。
第19条(届出事項等) 次の各号の場合には、甲又は受益者は乙に対し、届出で所定の手続を行うものとする。この届出の遅延による損害については乙は一切その責を負わない。
一 名称、組織、所在地、代表者、代理人及び届出印鑑に変更のあったとき。
二 受益権証書又は届出印鑑を喪失したとき。
三 その他この信託契約に関し重要と認められる事項。
第20条(受益権証書) この信託契約の受益権を証する証書として、乙は別に受益権証書を受益者に交付するものとする。
2 第2条による信託財産の追加があっとときは、その都度乙は受益者に対し受益権証書を追加交付するものとする。
3 前2項の受益権証書はそれぞれ分割して作成することができる。
第21条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己又は自己の代理人若しくは媒介をする者が、現在、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなったときから5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロまたは特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、および次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを相互に確約する。
一 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること
二 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること
三 自己、自社もしくは第三者の不正の利益を図る目的または第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること
四 暴力団員等に対して資金等を提供し、または便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること
五 役員または経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること
2 甲又は乙は、前項の確約に反して、相手方又は相手方の代理若しくは媒介をする者が暴力団員等あるいは前項各号の一にでも該当することが判明したときは、何らの催告をせず、本契約を解除することができる。
3 甲又は乙が、本契約に関連して、第三者と下請け又は委託契約等(以下「関連契約」という。)を締結する場合において、関連契約の当事者又は代理若しくは媒介をする者が暴力団員等あるいは1項各号の一にでも該当することが判明した場合、他方当事者は、関連契約を締結した当事者に対して、関連契約を解除するなど必要など措置をとるよう求めることができる。
4 甲又は乙が、関連契約を締結した当事者に対して前項の措置を求めたにもかかわらず、関連契約を締結した当事者がそれに従わなかった場合には、その相手方当事者は本契約を解除することができる。
第22条(協議事項) 本契約に定めのない事項その他本事業の譲渡に関し必要な事項については、本契約の趣旨に従い甲乙協議の上、決定する。
書式内で注意すべきポイント
注1 信託とは、「特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう。」(信託法2条1項)
注2 信託のうち本契約書は、車両信託に関する契約書である。車両信託は、車両会社(本契約書でいう甲)が、その車両を営業受託会社(本契約書でいう乙)に信託し、乙は鉄道会社(本契約書でいう丙)にそれを賃貸する形をとり、賃料の中に代金の償却部分を含ませて、丙が償却するとともに車両の所有権を丙に帰属させることにする(したがって、実質は所有権留保の割賦販売である)。他方、委託者たる甲は、同時に受益者となり、受益権を担保として融資を受けたり、受益権の一括譲渡又は分割譲渡によって資金を回収するものである。
注3 信託においては、一定の目的が定められなければならない(信託法2条1項)。信託法でいう目的とは、受託者の行動基準、すなわち投資方法や受益者への交付方法のことである。
注4 登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記又は登録をしなければ、当該財産が信託財産にぞくすることを第三者に対抗することができないとされている(信託法14条)。鉄道車両については登記登録制度がないので、信託財産であることの公示は要求されていないが、動産の即時取得(民法192条)を排除するため、第3条のように信託車両である旨のプレートのとりつけ等を行う。
注5 元本と収益のとの区別は必ずしも明確でないから、信託契約において区別基準を明確にしておく。元本受益者と収益権者とが異なる場合には紛争の種になるため、より注意をする。
注6 受託者は、信託事務を処理するに当たっては、善良な管理者の注意をもって、これをしなければならないとされており(信託法29条2項)、第9条もこのことを確認している。なお、善管注意義務とは、その従事する職業や社会的な地位に応じて通常要求される程度の注意義務をいう。
注7 第10条の計算期日は、信託銀行の信託勘定決算期である。
注8 車両信託の場合、信託期間は現在の実例では5年である。
注9 信託の目的を達成したときは、または信託の目的を達成することが出来なくなったときは、信託契約の終了事由とされているが(信託法163条1項)、第15条の内容は、信託の目的を達成したときに該当するであろう。
注10 受託者は、受益者との間で合意をすれば、受益者から信託報酬を受け取ることができる(信託法48条5項)。
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注13 ・・・・・
注14 ・・・・・