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相続税計算における土地の相続税路線価と実勢価格との関係とは?

相続税計算で用いる相続税路線価と実勢価格との関係を教えてください。

祖父が亡くなって、相続財産を2人の相続人間で平等に折半で配分する事になりました。
伯父が都内の土地に加えお金を貰い、私の父がお金だけを貰うことになったのですが、土地を相続税路線価で計算して相続財産を配分することは問題ないでしょうか?


【この記事の著者】 冨田会計・不動産鑑定株式会社 冨田建公認会計士・不動産鑑定士事務所
不動産鑑定士・公認会計士・税理士 冨田 建

相続税路線価

相続税路線価とは、「相続税の世界における土地の評価に対して便宜的に用いる価格の基準」のことです。
あくまでも、「相続財産の評価及びこれに基づく相続税額算定用」であって、それ以上でもそれ以下でもありません。

相続税路線価は、相続税額算定用の㎡あたりの土地の単価水準を示しているものなので、これに基づき地積を乗じる等の一定の処置を施して、土地の相続税評価額を求めることとなります。

実勢価格

土地の実勢価格とは、広く民間の自由な不動産取引の過程において形成された土地の取引水準の相場のことです。従って、国税庁が主体となって定めた相続税路線価とは直接は関連しません。

ただし、
①国税庁が相続税路線価を定める際に実勢価格や不動産鑑定士の意見にも配慮して定めている
②民間の取引においても、ある程度は相続税路線価の水準を意識して取引単価を検討してこれに基づき取引価格を決定し、取引が多くなされることにより実勢価格が形成される傾向にある

という点において、間接的には相続税路線価との関連があるといえます。

一般的には、相続税路線価と実勢価格の関係は、次の式で表されます。
(※角地や不整形地等の個別的要因は別途考慮の必要があります)

相続税路線価×1.25=実勢価格の㎡単価

ただ、実際のところ、筆者の個人的な感覚では一つの目安として下記のような式で、より実態に即した価格が出せると思います。

●東京都心部
 相続税路線価×1.5~2.0前後=実勢価格の㎡単価

●東京23区郊外の住宅地
 相続税路線価×1.3~1.5前後=実勢価格の㎡単価

●地方都市の中心部
 相続税路線価×1.25前後=実勢価格の㎡単価

●過疎地
 相続税路線価×1.00前後=実勢価格の㎡単価

ここまで見てきたように、相続税評価額は実勢価格よりも低いことが通常です。
従って、相続時に「相続税を計算する段階」では税額を圧縮するために少しでも評価を低くすることを考えるのが適切ですが、「相続財産を配分する段階」では、実勢価格等に基づき判定される「その不動産の世間一般から見て妥当と判断される価格」である、「公正価値」を不動産の鑑定評価もしくは簡易査定等によって把握し、これにも配慮して配分を行った方がより適切な価格を算定できるでしょう。

このように考えていくと、質問のケースでは被相続人の土地を本来的な公正価値よりも低い相続税評価額で計算して配分すると、父の取り分には実質的に損が生じることになります。
よって、土地を相続税路線価で計算して相続財産を配分することは、本当の意味での「折半」とは言い難い、といえます。

あくまでも「相続財産の配分時」には、

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