昔から、「喧嘩(けんか)するほど仲がいい」ともいわれます。
しかし、たとえ夫婦の間でも、暴力をふるうことがあれば犯罪になる可能性があるということについて法律解説します。
事件はこうして起きた
「夫婦げんかで妻を暴行 容疑の中学校教諭を逮捕」(2016年10月27日 産経新聞)
妻(33)と友人女性との3人で、自宅で酒を飲んでいた夫(33)。
職業は、町立中学校で保健体育と生徒指導を担当している教諭である。
楽しいはずの宴会は、次第に夫婦で口論に発展。
2016年10月26日午後10時頃、妻が顔に酒をかけたことに激怒した男は、妻の顔にプラスチック製のコップを投げつけて鼻に傷を負わせ、さらには、頭を殴るなどして頭部打撲のケガをさせた。
そのため、京都府警亀岡署は傷害容疑で男を緊急逮捕した。
調べに対して、男は「ケガをさせてしまったが、コップは投げてはいない」と容疑を一部否認しているという
リーガルアイ
人に暴力をふるう罪の中に「傷害罪」と「暴行罪」があります。
「刑法」
第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
「刑法」
第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
似ているようですが、2つの罪には違いがあります。
簡単に言うなら、相手がケガをしたかどうかが判断の基準になります。
たとえば、殴る、蹴るという行為だけが暴行になるわけではありません。
相手をくすぐったり、刃物を突きつけたり、タバコの煙を吹きかけても暴行罪になる可能性があります。
また、傷害とは肉体を傷つけるだけではありません。
刑法上、身体とは肉体と精神的機能の両方をいうことに注意が必要です。
傷害罪と暴行罪の違いに関する解説はこちら⇒
「抜くと傷害罪、切ると暴行罪になるもの何だぁ?」
つまり、この事件では暴行を受けた妻がケガをしたため、夫が傷害容疑で逮捕ということになったと考えられます。
逆に、