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欠損金の繰越控除制度と繰戻還付制度のメリット・デメリットを解説

事業年度の収益が赤字となった場合、一定の要件を満たせば損失額(欠損金)を他の事業年度の利益と相殺することができます。

欠損金を控除する方法としては繰越しと繰戻しの2種類ありますが、併用して適用することはできませんので、今回は欠損金の繰越控除制度と繰戻還付制度の概要と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

欠損金繰越控除制度のメリット・デメリット

一般的に、会社が赤字となった際に用いられるのは欠損金繰越控除制度です。

制度の概要・適用要件

欠損金繰越控除制度は、事業年度に発生した損失を翌事業年度に繰り越し、翌事業年度以降に利益が発生した場合、繰り越した欠損金を利益から控除する制度です。

欠損金繰越控除を適用するためには、欠損金額が生じた事業年度において青色申告による確定申告書を提出し、その後の各事業年度において連続して確定申告書を提出しなければなりません。

白色申告で確定申告書を提出した事業年度の欠損金を繰り越すことはできませんが、繰り越した欠損金については、白色申告を行った事業年度の利益から控除することは可能です。

メリット:欠損金を10年繰り越すことができる

欠損金繰越控除制度の最大の特徴は、繰越期間の長さです。

個人事業主の赤字の繰越制度は3年なのに対し、法人税の欠損金の繰越期間は10年です。短期的に利益が見込めない事業を営む場合、欠損金の繰越期間が長いのは大きなメリットであり、中小法人等は利益が発生したとしても、課税所得は繰越欠損金が無くなるまでゼロです。

デメリット:翌年以後に黒字が発生していないと節税効果が得られない

欠損金繰越控除は翌年以後の黒字から欠損金を差し引く制度であるため、黒字が発生していないと控除することができず、節税効果が得られません。

欠損金額が大きい場合、会社の体力が落ちていることもありますので、前事業年度に黒字が発生しているときは欠損金繰越控除制度ではなく、欠損金繰戻還付制度を利用することも検討してください。

欠損金繰戻還付制度のメリット・デメリット

欠損金繰戻還付制度は、前事業年度に黒字が発生している際に活用できる制度です。

制度の概要・適用要件

欠損金繰戻還付制度は、欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻し、法人税額の還付を請求することができる制度です。
制度を適用するためには、3つの要件があります。

・還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について、連続して青色申告の確定申告書を提出していること
・欠損事業年度の確定申告書を提出期限までに青色申告で提出していること
・欠損事業年度の確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること

中小企業者等以外の法人は、平成4年4月1日から令和6年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については、原則欠損金の繰戻しによる還付を受けることができません。
ただし、中小企業者等以外の法人であっても、下記の条件に該当する欠損金額については、欠損金繰戻還付制度の適用対象となります。

<欠損金繰戻還付制度の対象となる中小企業者等以外の欠損金額>
・清算中に終了する各事業年度の欠損金額
・解散等の事実が生じた場合の欠損金額
・災害損失欠損金額
・銀行等保有株式取得機構の欠損金額
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