10月決算法人において、事前確定届出給与に関して以下のようなケースが発生しております。
<事実関係>
・年末に株主総会を開催し、監査役に対して100万円の事前確定届出給与を届け出た。
・届出は株主総会から1か月以内に提出済みである。
・その後、翌年に当該監査役が取締役へ就任した。
・取締役就任後も、事前確定届出給与については届出通りの日付・金額で支給する予定である。
この場合、事前確定届出給与の「変更届出書」を提出する必要があるかどうかが問題となります。
届出書裏面の記載要領には、以下のように記載されています。
『この届出書は、役員の職務につき「所定の時期に確定した額の金銭又は確定した数の株式若しくは新株予約権若しくは確定した額の金銭債権に係る法人税法第54条第1項に規定する特定譲渡制限付株式若しくは同法第54条の2第1項に規定する特定新株予約権を交付する旨の定め」に基づいて支給する法人税法第34条第1項第2号に掲げる給与について、既に法人税法施行令第69条第4項に規定する直前届出をしている法人が、次の2の表の区分欄に掲げる事由に基因して当該直前届出に係る「定め」の内容を変更する場合において、その変更後の「定め」の内容に関して届出をするときに、その法人が必要事項を記載して提出してください。』(一部省略)
この記載から、「定め」とは支給日や支給額を意味するのではないかとも考えられます。その場合は、支給日や支給額に変更がない以上、変更届は不要と解釈することが可能に思われます。
しかし一方で、監査役から取締役へと役員の職制が変更されたこと自体が、変更届の提出事由に該当する可能性も否定できません。
したがって、今回のケースでは変更届を提出する必要があるのか、それとも不要と整理できるのかについて、実務上どのように判断するべきかを検討しております。