当方が関与する以前に取得された自己株式が、流動資産の「有価証券」勘定に計上されたままの法人がありました。
計上から約15年が経過していましたが、3年ほど前に金融機関から「表示が不適切ではないか」との指摘を受けました。
そのため、この自己株式を資本のマイナス項目として表示し直し、申告を行いました。
この修正の際には、別表4の調整および別表5(1)「利益積立金の増減」の処理を行うため、「利益積立金額及び資本金等の額の計算等に関する明細書」に必要な数値を記載しています。
昨年、別件で税務調査を受けましたが、その時点ではこの点について特に指摘はありませんでした。しかし先日、担当調査官から
「この自己株式の取得について、みなし配当の処理はどうなっているのか?」との問い合わせがありました。
おそらく調査後の後処理で申告内容に気付いたのだと思われます。
自己株式の取得時期は約15年前で、現社長の記憶もあいまいであり、当時の資料も残っていません。
今回行ったのは、資産の部に誤って表示されていた自己株式を、正しく資本金のマイナス項目へ振り替えたという処理のみです。
しかし、取得当時のみなし配当の判断については、現状では資料が不足しており、検討には限界があります。
今回のように、取得・処分・譲渡といった取引が伴わないケースでも、みなし配当が問題になる可能性はあるのでしょうか?




