本社には、税理士法人K本社と複数の会計法人があります。一方、本社以外の各拠点には、それぞれ「税理士法人K○○支社」と1つの会計法人があります。
顧客との契約については、税務申告や帳簿の作成、給与計算などの付随業務を含め、税理士法人が一括して行っています。会計法人が顧客と直接契約を締結することはなく、顧客との契約に基づく報酬についても、税理士法人が請求しています。
会計処理については、顧客に請求した報酬を税理士法人の売上として計上しています。その一方で、会計法人が担当した業務については、会計法人から税理士法人に対して業務に係る報酬を請求し、税理士法人では外注費として計上しています。
業務の分担としては、税理士法人が税理士法に定められている税務代理、税務書類の作成、税務相談などの税理士業務を担当し、会計法人は、税理士資格がなくても行うことができる帳簿の作成、給与計算などの業務を担当しています。
税理士法人Kで勤務する社員については、税理士法人と会計法人の双方に在籍している形となっています。
そのため、1人の社員が税理士法人の業務と会計法人の業務の両方を担当し、それぞれの業務に応じて給与を得ています。
<事業内容>
税理士法人Kの定款には、事業内容として以下の業務が記載されています。
第1条 当法人は、次の各号に掲げる業務を行うことを目的とする。
一 他人の求めに応じ、租税に関し、税理士法第2条第1項に定める税務代理、税務書類の作成及び税務相談に関する事務を行うこと。
二 前号の業務のほか、他人の求めに応じ、税理士法第2条第2項に定める財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行、その他財務に関する事務を行うこと。
三 税理士法施行規則第21条に定める財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を行うこと。
日本税理士会連合会制度部が発行した「税理士法人に関するQ&A」のQ9「税理士法人における会計業務のあり方」では、税理士法人における会計業務について、税理士業務に付随する会計業務(税理士法第2条第2項)は税理士法人で、税理士業務に付随しない会計業務(税理士法施行規則第21条第1号)は会計法人で行うことが可能とされています。
一方で、税理士法人の社員が当該会計法人の役員等を務めている場合には、それぞれの法人において「財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務」を行うことになるため、社員の競業の禁止(税理士法第48条の14)に抵触するものと考えられるとの記載があります。
<定款変更を避けたい理由と現在検討している対応>
現在、一部の拠点では、税理士法人の代表社員と会計法人の代表者を同一人物が兼ねている状況です。
そのため、税理士法人の定款から第1条第三項を削除することで、社員の競業の禁止義務への抵触を回避できないかと考えています。
しかし、税理士法人が経済産業省の認定経営革新等支援機関として登録されていることから、現時点では、定款の第1条第三項を削除することができない状況です。
そこで、別の対応として、会計法人の代表者を、税理士法人の代表社員ではない者に交代させることも検討しています。
【質問】
税理士法人の代表社員と会計法人の代表者が同一人物である場合、税理士法上の罰則や処分の対象となるのでしょうか。
もし罰則等が発生する可能性がある場合には、以下の点についてもご教示いただきたいです。
・どの機関が処分を行うことになるのか。税理士会による処分となるのか。
・どのような罰則・処分が想定されるのか。
・実際に社員の競業の禁止に抵触した場合の具体的な取扱いについて。
現在は、税理士法人の定款に会計業務まで含めているため、税理士法人が顧客と契約することで、税務業務から会計業務まで包括的に業務を提供できる体制となっています。
仮に、税理士法人の定款から会計業務に関する規定を外した場合、顧客との契約については、税理士法人と会計法人がそれぞれ個別に契約を締結する必要があるのでしょうか。
税理士法基本通達(税理士法第48条の14)では、税理士法人の代表社員が会計業務を行う法人の役員になると、社員の競業の禁止に抵触する旨が規定されています。
一方、「税理士事務所等の内部規律及び内部管理体制に関する指針」の8「外部への委託」(1)「会計法人への外部委託」では、税理士事務所等が付随会計業務を会計法人に外部委託する場合、その開業税理士が会計法人の主宰者となり、間接的な監督を図るための管理体制を整備することが望ましいとされています。
このように、いずれも税理士会から発行されている資料でありながら、会計法人との関係や代表者等の取扱いについて異なる内容が示されています。
これらの取扱いの違いも踏まえた場合、現在のように、税理士法人と会計法人を併設し、社員が双方の業務を行う体制を維持したまま事業活動を続けることについて、税理士法上のリスクはあるのでしょうか。
また、現在の体制を継続する場合に、特に注意すべき点や、競業の禁止に抵触することを避けるために講じておくべき対応があれば、併せてご教示いただきたいです。



