「節税目的で共有名義にしたい」という方は多いですが、実際には、メリットがほとんどないこともあります。
どのようなケースでは共有名義にした方が良いのか、一緒に考えていきましょう。
【この記事の監修者】 讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
そもそも共有名義にする3つの目的とは?
はじめに、不動産を共有名義にする目的を整理したいと思います。一般的に共有名義には、次の3つの目的があります。
1つ目は、お互いの所有権を明確にするためです。
これを重視する方は、共有名義にした方が良い人です。
一例として、父子でお金を出しあって不動産を購入した場合で考えてみましょう。
父が購入費用の一部を負担していても、共有名義で登記しなければ、その不動産の持ち主は子のみということになり、独断で売却できてしまいます。
2つ目の目的は、ローンの借入額を増やすためです。
共有する人それぞれに定期収入がある場合、1人より2人でローンを組んだ方が借入額を増やせます。
それによりグレードの高い住宅にしたり、立地の良い場所に住宅を購入したりといったことが可能になります。
ローン枠を広げたい人は、共有名義にした方が良い方です。
3つ目の目的は、節税のためです。
ただし、後ほど詳しく解説しますが、高所得者は節税メリットが小さいので注意が必要です。
高所得者は除外される「住宅ローン減税」
ここから先は、さきほど挙げた3つの目的のうち、「共有名義による節税」にフォーカスしていきます。
体的な節税効果としては、「住宅ローン減税」と「譲渡所得の特別控除」のメニューがあります。
いずれも単独よりも共有名義の方が減税額を増やせます。
まず「住宅ローン減税」ですが、単独で申告した場合、10年間で最大400万円の所得税・住民税に対する減税が適用されます(一般住宅の場合)。
共有名義だと、共有者それぞれが減税を申告できるため減税額を増やせます。
ただし、住宅ローン減税には様々な制約があります。
その中には「所得が3000万円以下であること」という条件もあります。この部分だけで考えると、所得3000万円以下は共有名義にした方が良い人、所得3000万円超は共有名義にする意味がない人になります。
「住宅ローン控除と共有不動産」について詳しく知りたい方はこちら
→共有名義にするとなぜ、住宅ローン控除の枠が広がる?
処分した時の売却益が節税できる「譲渡所得の特別控除」
共有名義のもうひとつの節税メリットは、「譲渡所得の特別控除」です。
単独名義では、購入した不動産を処分して売却益が得られた時に3000万円まで控除されます。
共有名義の場合、(3000万円×2人で)最大6000万円の控除が可能になります。
とはいうものの、