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借地権の所得税・法人税・相続税・消費税における取り扱いについて

借地権の定義は借地借家法で規定されていますが、税法ごとに借地権を別途定義している場合もあります。

そのため借地借家法上の借地権を基準にしてしまうと、認定課税など税金上のトラブルが発生する可能性もありますので、本記事では法人税・所得税・相続税・消費税における借地権の取り扱いについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

借地借家法上の借地権の定義

借地借家法では、借地権を「建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権」と定義しています。

民法第265条では、地上権を他人の土地に工作物や竹木を所有するためにその土地を使用する権利としています。

借地借家法上の借地権に該当する地上権は、建物の所有を目的とするものに限定しているため、民法に規定されている地上権よりも範囲が狭いです。

一方賃借権は、民法第601条で賃貸借について定義されており、物を借りた人が賃料の支払い義務を負う代わりに、使用・収益できるようになる債権をいいます。

借地借家法では土地の賃借権としているため、こちらも民法よりも対象の範囲が狭くなっています。

法人税法上の借地権の取り扱い

法人税法上の借地権については、法人税法施行令第137条(土地の使用に伴う対価についての所得の計算)に規定されており、借地権を「地上権または土地の賃借権」としています。

借地借家法上の借地権の定義における地上権は、「建物の所有を目的とする地上権」です。

それに対し法人税の地上権は、「建物の所有を目的」に限定していないため、構築物などの所有を目的とするために土地の賃借権を設置する場合、借地権の課税が行われる可能性もあります。

法人税法上の借地権の範囲が借地借家法よりも広い理由としては、土地の賃借をする際に借地借家法で定める借地権以外でも権利金を授受するケースは存在し、慣行として行われている場合は、権利金の授受を前提とした課税が行われるべきとの考えがあるからです。

したがって法人が所有する土地を貸し出し、建物などを建築させた際は借地権が設定され、権利金を収受する慣行があるにもかかわらず権利金を収受しないときは、権利金の認定課税が行われます。

なお権利金の認定課税されないケースとしては、2つあります。

●土地の価額からみて相当の地代を収受している
●「土地の無償返還に関する届出書」を借地人と連名で税務署に提出している

土地の無償返還については、借地権の設定に関する契約書で借地人が土地を無償で返還することが定められている場合に限り、認定課税されません。

所得税法上の借地権の取り扱い

所得税法では、所得税法施行令第79条(資産の譲渡とみなされる行為)において、

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