都市計画法でいう「用途地域」とはどういうものでしょうか? 不動産を購入する際に注意するべきポイントはありますか?
【この記事の著者】 冨田会計・不動産鑑定株式会社 冨田建公認会計士・不動産鑑定士事務所
不動産鑑定士・公認会計士・税理士 冨田 建
「都市計画法」に基づき、用途の混在を防ぐ目的で、その土地の用途を制限したものを「用途地域」といいます。
全部で12種類あり、たとえば、「工業地域」には、住居を建築することはできますが、どのような工場でも建設できるため、住むには適さない地域ということになります。
田園調布のような住宅地に大きな工場などがないのは、用途地域としての制限が設けられているからです。
都市計画法と用途地域
不動産に関する重要な法律として、「都市計画法」「都市の健全な発展と秩序ある整備を図る法律」ということになります。
その中で、都市化の促進を求める市街化区域や、逆に都市化の抑制を求める市街化調整区域、どちらでもない非線引都市計画区域等が定められる一方で、特に市街化区域では必ず「用途地域」というものが定められています。
(なお、用途地域は市街化区域以外でも定められる場合があります)
用途地域には、下記の12種類があります。
●第一種低層住居専用地域
●第二種低層住居専用地域
●第一種中高層住居専用地域
●第二種中高層住居専用地域
●第一種住居地域
●第二種住居地域
●準住居地域
●近隣商業地域
●商業地域
●準工業地域
●工業地域
●工業専用地域
重要なポイントは、「建築基準法」という法律によって、この12種類の区分け毎に「その地域内で建築できる建物の内容が制限される」という点です。
たとえば、第一種低層住居専用地域で大規模店舗は制限されますし、逆に工業専用地域では住宅の建築は制限されます。
つまり、ある土地の所有者が、その土地上に建物を建築しようとした場合、どんな用途の建物でも建築できるのか? というと、答えは「NO」ということになります。
不動産を購入する際の注意点
田園調布に大工場がない理由は、田園調布一帯が、第一種低層住居専用地域等の「大工場の建築が制限される用途地域」に指定されているからです。
ちなみに、たとえば東京23区のほぼすべて、政令指定都市の建物が建ち並ぶ都市化された地域は、まず間違いなく用途地域が指定されていると考えて差し支えないでしょう。
そのような背景があるため、もし不動産、特に更地を購入される場合は、