以前は、「生きているうちに遺言書を作るなんて縁起が悪い」と考える人も多くいました。
しかし、時代が変わり価値観が多様化してきたことで、近年では生きているうちに遺言書を遺しておこうという人が増えています。
今回は、遺言書の種類やメリットなどについて解説します。
問題の核心をチェック
「遺言公正証書:年10万件 背景に家族の形多様化 確実な相続を期待」(2015年6月22日 毎日新聞)
2014年、遺言公正証書の年間作成件数が初めて10万件を突破した。
遺言公正証書は公証人の助言を受けて作られるもので、遺産相続を巡るトラブルを防ぐ効果がある。
日本公証人連合会(日公連)によると、1971年には約1万5000件だった遺言公正証書の作成件数は、2014年には10万4490件にまで増加した。
公正証書遺言を作成する人が増加している要因は複数考えられます
1.家族形態の多様化
家族の形が多様化していることで、法律の定めに縛られずに遺言として生前に遺しておきたい人が増えている。
仲の良くない兄弟や疎遠な親族などに財産を遺したくないと考える子供のいない夫婦や、パートナーに遺産を遺したい事実婚のカップルなど。
詳しい解説はこちら⇒「夫の遺産を相続できない妻がいるって本当?」
https://myhoumu.jp/legaleye056/
2.相続税などの増税
2015年1月1日に相続税・贈与税が改正され、遺産から差し引くことができる基礎控除額が40%も引き下げられた。
そのため、増税にともなうトラブル防止として公正証書遺言のニーズが高まっている。
<以前の基礎控除額>
5000万円+1000万円×相続人の数
<改正後の基礎控除額>
3000万円+600万円×相続人の数
この結果、たとえば8000万円の遺産を配偶者と2人の子供が相続する場合、今までは、「5000万円+1000万円×3人=8000万円」となり、相続税はかからなかったところ、現在では単純計算で175万円かかることになる。
今後は、遺産が4800万円以上あれば相続税が発生してしまうことになった。
3.認知症患者の急激な増加問題
65歳以上の高齢者のうち認知症の人は推計15%、約462万人。
さらに発症の可能性のある400万人も含めると、4人に1人が認知症とその予備軍だという調査結果が厚生労働省から公表されている。
また、認知症が原因の行方不明者は2年連続で1万人を超えており、事故に巻き込まれる可能性が高まっている。
詳しい解説はこちら⇒「検証!いくらかかる?鉄道事故の損害賠償金」
https://myhoumu.jp/train_accident/
リーガルアイ
相続=争族といわれるように、兄弟や親族間で骨肉の争いになることもあるのが相続問題です。
遺産相続トラブルを未然に防ぐ方法のひとつに