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暴力団は自動車保険に入れない!被害者はどうする?

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大手損害保険会社は、暴力団関係者と保険契約できないようにするという発表をしました。

一体どういうことなのでしょうか? 被害者への影響はあるのでしょうか?
法律的な立場から、今後の対応を考えていきたいと思います。

ニュースの核心を読む

「損保、暴力団排除の規定導入 被害者に救済措置」

大手損害保険会社は暴力団関係者が保険を契約できないようにする。来年9月までに自動車、火災保険などの契約条件を定めた約款に、暴力団排除条項を盛り込む。契約後に暴力団関係者と分かった場合も解約に踏み切る一方で、被害者には保険金を支払うなど救済措置をとる。(2013/11/4 日本経済新聞)

「損保、暴力団の契約排除 “全件チェック”導入検討」

損害保険業界は自動車保険など損保契約での暴力団関係者の排除を強化する。東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険が契約後にデータベースを使い、反社会的勢力かどうかなどを1件ずつ調べる「全件チェック」を検討する。10月から導入した暴力団排除条項と合わせ、取引の遮断を厳格にする。(2013/11/18 日本経済新聞)

「3メガ損保、損保契約を全件調査 暴力団排除で」

3メガ損保グループは19日、自動車保険などの損保契約について契約者が暴力団関係者などでないかの全件調査を行っていることを明らかにした。事後チェックの導入により、10月から保険契約の約款に盛り込まれている暴力団排除条項が実効的にする狙いもある。(2013/11/19 日本経済新聞)

暴力団関係者と判明する時期は、①契約時、②契約中、の2段階があります。

これまで損保各社では、契約時に暴力団関係者と判明した場合は、保険契約を断ってきたようです。しかし、契約中に暴力団関係者と判明した場合には、中途解約が難しく、更新時まで待って、更新を拒絶してきたといいます。

そうした中、今年発覚した、みずほ銀行による暴力団への融資事件などの影響もあって、損保各社では今年10月から保険約款の変更を実施。契約途中で暴力団関係者と判明した場合もすぐに保険契約を解除できるようにする、ということのようです。

日本では、すでに47都道府県すべてに「暴力団排除条例」が施行されており、企業は、暴力団に経済的利益を与えることが禁止されています。

損保会社が暴力団関係者と保険契約を締結し、保険事故があると、暴力団に保険金が支払われます。これは、暴力団に経済的利益を与えることになるため、今回の動きは当然の行動といえます。

しかし、このような措置によって今後、自動車事故の被害者に不利益が生じる懸念があるのです。

リーガルアイ

損保会社が、暴力団との自動車保険契約を拒絶し、または解除することによって、暴力団関係者は、自動車に関し任意保険が無保険状態になります。

もちろん、自賠責保険の加入は義務づけられていますが、同法の保護は、被害者救済のための「最低限」の保障を定めているにすぎません。

つまり、自賠責保険の金額を超える損害賠償金については、事実上被害者が泣き寝入りする結果となるのではないか、という懸念があるのです。

仮に、40歳男性で年収800万円、家族が妻と子供1人、という例で、死亡事故の損害賠償金を算出してみると、概算で、1億1150万円が、損害賠償額となります。

この損害賠償額は、被害者が今後働いて得られるお金や慰謝料など、被害者の遺族が当然もらえてしかるべき賠償金です。

しかし、自賠責保険の金額は死亡の場合で3,000万円です。残りの8,150万円が回収不能となってしまうおそれがあるのです。

損保各社は、契約途中で暴力団関係者と判明した場合は救済措置として、その後の事故でも保険金を支払うというが、そのうち暴力団関係者の全ては自動車保険に加入できなくなってしまうでしょう。

そのとき、被害者への救済も保護もなくなっています。そのあたりも十分考えて、これからは政策的保護も検討すべきでしょう。

ところで今後、暴力関係者の自動車が任意保険未加入であることを想定して、被害者が取り得る手段があります。

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