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土下座の強要は犯罪になるのか?

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全国で土下座を強要する事件が多発しています。

高視聴率TVドラマ『半沢直樹』の人気の陰に潜む犯罪の危険性を検証します。

事件はこうして起きた

札幌東署は10月7日、札幌市内の衣料品チェーン「ファッションセンターしまむら 苗穂店」で、購入した商品が不良品だと訴えて従業員に土下座をさせたうえ、自宅に来て謝罪するよう約束させたとして、“強要”の疑いで女(43)を逮捕した。

10月21日、子どもが通学する小学校の教諭2人を松葉づえで殴って、けがをさせたうえ土下座させたなどとして、滋賀県警大津北署は傷害や強要などの疑いで、大津市内の無職の女(41)を逮捕した。

とくに札幌の事件では、女が土下座をする従業員2人を携帯電話で撮影。画像を投稿サイト「ツイッター」に投稿したことで、「不愉快」「非常識だ」などの批判が集中。「半沢直樹の見過ぎだ」「しまむらが“倍返し”だ」などの書き込みもありネット上で大きな騒ぎになっていました。

事件が起きたのは9月3日午後6時ころ。
「しまむら」で「(前日の2日に)購入したタオルケットに穴が開いていた。返品のために店に来るのに使った交通費と時間を返せ」などとクレームをつけ、容疑者の女はパート従業員の女性(32)ら2人に土下座を強要。さらには、自宅に来て謝罪するとの念書を書かせたといいます。

一方、2人の女性従業員は、「タオルケットの代金980円は返却。交通費は払えない」と説明すると、土下座を強要されたといいます。
その後、従業員らは容疑者宅へは訪れず、同店が札幌東署に相談。
従業員が9月下旬に同署に被害届を出していたようです。

当初、調べに対して女は、「強要はしていない」と容疑を否認していましたが、「ツイッター」に従業員を土下座させた画像を投稿していたとして、10月25日に名誉棄損罪で略式起訴され、札幌簡易裁判所は罰金30万円の略式命令を出しました。
なお、強要容疑については、「前科もなく反省している」として不起訴としました。

ところで、TVドラマ『半沢直樹』の最終回、半沢が大和田常務に土下座させるシーンが話題になりましたが、はたして法律上、半沢直樹に強要罪は成立するのでしょうか?

リーガルアイ

『刑法』には、こうあります。

第223条(強要)1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

ヒントは第10話の最終回にありました。
東京中央銀行の取締役会でのこと。大和田常務に土下座することを求める半沢が言います。

半沢「大和田常務、私との約束、覚えていらっしゃいますね?」
大和田「や、約束?」
半沢「私に以前、もし伊勢島ホテルの120億損失の隠蔽を指示した人物が大和田常務、あなただったら、私に土下座してくださると約束してくださいましたね」

そうです、大和田常務は半沢に土下座の約束をしていたのです。
つまり、大和田常務は半沢に対して土下座をする義務がないとはいえないのです。しかも、半沢は大和田常務に対し、暴行も強迫もしていません。

よって、最終的には半沢への強要罪は成立しないということになります。

ちなみに、大津市では2年前に中学2年生の男子生徒がいじめを受け自殺する問題が起き、大きなニュースになったこともあって、今回の事件も話題となりました。

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