上司からの土下座強要・暴言はパワハラ?それとも犯罪?




近年、上司による土下座の強要・暴言などのパワハラに関する報道が増えています。

しかし、どのような行為をするとパワハラになるのか、そしてパワハラが犯罪になる可能性もあることを知らない人も多いのではないでしょうか?




「上司のパワハラ・土下座強要」はこうして起きた

福岡県内の郵便局員だった男性(当時41歳)が突然死したのは、当時の郵便局長から受けたパワハラが原因だったとして、遺族が日本郵便に対して1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が福岡高裁であった。

2011年12月、うつ病で休職中だった男性局員が致死性不整脈で死亡。
じつは、この年の5月と10月に、局長から「いつ辞めてもらってもいいくらいだ」、「あんたが出てきたら皆に迷惑」などと言われていたという。

こうした局長の言動について、2016年3月にあった1審の福岡地裁小倉支部判決ではパワハラと認定し、220万円の支払いを命じていたが、今回の福岡高裁でもパワハラと認定し、330万円の支払いを命じた。

同時に、男性局員も参加していた2011年6月に行われた朝礼で、局長が別の局員を土下座させた行為についても、「その場にいたすべての職員に対する安全配慮義務に違反する」としてパワハラと認定した。

その一方で、一審判決と同様にパワハラと死亡の因果関係については今回も認めなかった。

パワハラとは?定義と成立要件を動画で解説




パワハラの定義

厚生労働省が公表している「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」では、パワハラの定義を次のように定めています。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」

「上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。」



パワハラが成立するための3つの要件

パワハラが成立するためには以下の3つの要件が必要になります。

1.それが同じ職場で働く者に対して行われたか
2.職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に行われたものであるか
3.業務の適正な範囲を超えて、精神的・肉体的苦痛を与え、また職場環境を悪化させるものであるか


パワハラとなる6つの行為

職場のいじめ、ともいわれるパワハラには次の6つの行為があることに注意が必要です。

①身体的な攻撃(暴行・傷害)
②精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
④過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
⑤過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)



民事訴訟における損害賠償請求

会社には、社員に対して「職場環境配慮義務」と「使用者責任」があります。
そのため、今回の事案のようにパワハラにおける民事訴訟では、被害者は加害者に対して損害賠償を請求することができます。

従業員との間で交わした雇用契約に付随して、会社には職場環境を整える義務があります。
これを、職場環境配慮義務といいます。

パワハラやセクハラなどの被害が社員に発生した場合、職場環境配慮義務違反として債務不履行責任(民法第415条)により、会社はその損害を賠償しなければいけません。

また、ある事業のために他人を使用する者は、被用者(従業員)が第三者に対して加えた損害を賠償する責任があります。
これを、使用者責任といいます。(民法第715条)


労災の種類と判断基準

「労働災害」(労災)とは、労働者の業務中の負傷、疾病、障害、死亡のことです。

また労災には、通勤中でのケガ、病気などである「通勤災害」と、業務中におけるケガ、病気などの「業務災害」があります。

業務災害の労災が認められるのは、業務と労働者の負傷、疾病、障害、死亡との間に因果関係がある場合で、次の2つの基準を中心に判断されることになります。

「業務遂行性」=労働者が使用者の支配下にある状態
「業務起因性」=業務に内在する危険性が現実化し、業務と死傷病の間に一定の因果関係があること


パワハラと過労死の関係

業務災害のうち、病気によるものを「疾病災害」といい、いわゆる過労死は、この疾病災害に当てはまります。

つまり、過労死も労災に認定される可能性があるということです。

過労死は、長時間の過重労働等が起因となって、脳血管疾患や虚血性心疾患を発症して死に至るものとされていますが、その認定基準には厚生労働省が定める「過労死ライン」が用いられます。


過労死ラインの基準

健康障害リスクが高まるとする時間外労働時間を「過労死ライン」といいます。

過労死ラインの基準は以下のようになっています。

1.発症前の1か月ないし6か月間にわたって、時間外労働が、1か月あたりおおむね45時間を超えて時間外労働長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まる。

2.発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合、業務と発症との関連性は強い。

3.発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合、業務と発症との関連性は強い。



過労死が認められるケースの例

過労死が認められる境界線である過労死ラインは、通常80時間とされています。
たとえば、次のようなケースを想定するとわかりやすいでしょう。

「労働基準法」で定める法定労働時間である1日8時間勤務で、1か月に20日間働いた場合、1日4時間の時間外労働をして、1日12時間勤務が続く状態。

労働日の20日各2時間の時間外労働と、1日10時間勤務で4日の法定外休日出勤という1日10時間勤務が続く状態。


パワハラが犯罪になる可能性も

相手に土下座を強要すると、刑事事件として強要罪で逮捕される可能性があるので注意が必要です。

「刑法」
第223条(強要)
1.生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。


 

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