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恋人や配偶者へのDV(ドメスティックバイオレンス)の問題が増えているようです。
DVの問題は、なかなか人には言えないことでもあるため、表面化しないだけで実態は想像以上に多いのかもしれないという印象をもっています。
弁護士として、日々さまざまな相談を受けるのですが、じつはその中に離婚の原因となるDVの問題が多いからです。
通常、体力的には女性より男性の方が圧倒的に強いわけですから、男性が暴力をふるえば、女性は太刀打ちできません。
そのとき女性は、どうしたらいいのでしょうか?
「恋人への暴力は、恋の契約解除であり、損害賠償である」
といえるようなDV事件の判決が下されました。
事件はこうして起きた
「自殺未遂、DVが原因 交際相手に5千万賠償命令、札幌地裁」(2014年2月6日 北海道新聞)
札幌市の女性(当時26歳)が、交際相手の男性(当時26歳)からのDVを苦に自殺を図り、重度の障害を負ったとして、5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、2月に札幌地裁でありました。
報道によると、2人の交際は2008年5月頃からスタート。
しかし、間もなく男性が女性を怒鳴ったり、殴ったりするなどの暴力をふるうようになり、2009年1月、女性は自宅マンション14階の非常階段から飛び降り。意識不明の重体となり、現在も意思疎通が困難な状態が続いているということです。
男性側は暴行を否定しているようですが、裁判長は女性の友人の証言から「七ヵ月間にわたる暴行で思い詰め、当日も殴られて自殺を図った」と認定。
また、女性は男性に「いつか自分で自分の命を終わらせてしまいそうで怖い」というメールを送っていたということで、
「女性は暴力を受け、思い詰めていた。男性は自殺を予見できた」と結論づけ、請求通り全額の支払いを命じました。
男性は、2011年7月と2008年8月に女性に対して全治1週間のケガを負わせたとして札幌簡裁から罰金20万円の略式命令を受けていたということです。
リーガルアイ
DVがいきすぎれば、家庭内の問題というだけに留まりません。
一線を超えれば「暴行罪」や「傷害罪」になります。
今回の場合、刑法上は「傷害罪」です。
「刑法」第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
ちなみに、DVに関する法律には全30条からなる「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(通称「DV防止法」)があります。
DVの被害者は女性が多いことから、この法律の前文では「男女平等」「被害者の保護」「女性に対する暴力の根絶」などに触れています。
犬も食わぬ、という痴話喧嘩で済んでいればいいのですが、暴力によって、あまりに相手を精神的、肉体的に追い詰めすぎると、このような不幸なことになってしまいます。
愛し合って結ばれたはずの2人なのに、暴力でしかつながれないのは悲しいことです。
ところで、「法は家庭に入らず」という法諺(ほうげん)があります
家庭内で窃盗などを行っても、