不動産を購入する際の、特に注意すべきポイントを教えてください。
【この記事の著者】 株式会社あかつき不動産サービス 不動産鑑定士 藤田 勝寛
いくつか考えられますが、大きな注意点としてはその物件の持つ「瑕疵(かし)」の有無を把握することが大事です。
「瑕疵」とは「欠点・欠陥のあること」をいいます。
瑕疵は主に「物理的瑕疵」「権利の瑕疵」に区分されます。
(ほかにも法律的瑕疵、環境的瑕疵、心理的瑕疵などもありますが、ここでは割愛します)
物理的な瑕疵には、
・(特に見えないところの)キズ
・雨漏り
・シロアリ被害
・耐震強度の不足
・土壌汚染
などが挙げられます。
権利の瑕疵の例としては、
・売主がその不動産の持ち主ではなかった(買い取る予定だったのに実現できていない)
・土地上に抵当権が付着したままだった
・敷地の一部が他人の所有物だった
・土地の数量が不足していた
など場合が挙げられます。
物理的瑕疵に関してよく問題になるのは、中古建物の売買の場合です。
売主側は「躯体(本体)がしっかりしていれば、設備の多少の不具合は仕方がない」と考える方もいらっしゃるようです。
しかし買主側にしてみれば、当然「何も問題のない完全な状態」での引渡しを望むため、物件の引き渡し後にトラブルが発生する可能性が生じます。
これらを未然に防ぐためには、売買契約成立前に売主と買主の共同で物件の状況確認を行うことが望ましいでしょう。
不動産仲介会社に物件のチェックリストを作成してもらうのもひとつの方法です。
また、物理的瑕疵、権利の瑕疵とも未然に防ぐ手段として、当然「重要事項説明書」にはきちんと目を通してください。
重要事項説明書は、宅地建物取引主任者が、契約前(実際には実務上同時の場合が多い)に不動産の状況や契約内容等について記載した書面に記名押印して交付した上で、口頭で説明を行う義務のある文書です。
重要事項説明書においては、以下の項目についてチェックをしてください。
〇物件の概要(所在地や面積)
〇登記簿記載事項
〇法令上の制限(都市計画法、建築基準法等)
〇インフラ(上下水道、都市ガス等)の状態
〇建物の状況やアスベスト使用の有無
〇私道等による費用負担の有無
〇契約内容(契約の解除に関する事項、損害賠償額の予定、瑕疵担保責任の履行に関する事項等)
加えてマンションであれば専用使用権や管理費、修繕積立金、管理委託先の内容等を入念に確認しておくべきです。