会社にとっての適正な会計処理と正しい決算書の重要性とは?



上場していない会社では厳格な会計処理は不要と感じるのですが…。会社の会計処理や決算書などは、そんなに大切なものなのでしょうか?

【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
http://www.eguro-cpa.com/


非上場企業でも決算書は会社の鏡ですので、適正な会計処理をするべきです。

私自身、非上場企業様とのお仕事が多いのですが、その場合、必ずと言っていいほど「うちは上場していないので、厳しい会計処理は不要ですよね」という声を聞きます。

しかし、上場していても、していなくても決算書は自社の経営の鏡です。自社の実態を表してこそ決算書です。
適正な会計処理をすることが、会社の実態を示し、結果として会社を強くすることにつながります。


適正な会計処理と正しい決算書の重要性

例えば、在庫について会計基準では毎期、収益性の低下を考慮して評価しなければなりません。
つまり、売価と簿価を比較して売価の方が低くなっていれば、その分簿価を減額する必要があります。

仮に、アパレル業を営んでいる会社が3月決算の時点で冬物が大量に残っている場合、値引きをしなければ売れないでしょう。
決算ではその値引き分を評価損として認識します。

具体的には1着5万円のコートが10着残っていて、1着3万円でしか売れないのであれば、

簿価5万円△売価3万円=2万円×10着=20万円
の評価損を認識するのです。

また、建物や機械設備、土地についても、その設備を使っている事業が赤字であれば、その固定資産はその分減損処理をする必要があります。
回収見込みのない売掛金や未収入金、貸付金は貸倒引当金を計上する必要があります。
さらには、株式やゴルフ会員権も評価する必要があります。

賞与や退職金を払う場合も、将来の支出に備えて引当金を積む必要がありますし、未払いの費用などがあれば未払い費用を認識しなければなりません。

このような場合、多くの経営者は、「あの在庫はいつか高く売れるから評価損は必要ない」「あの設備を使ってビジネスをしているのだから減損は必要ない」とおっしゃいます。

しかし、それでは含み損を抱えたまま経営をしていることになります。いってみれば、脂肪がついてしまった身体です。
そのような身体が不健康なことは言うまでもないでしょう。

人が引き締まった健康的な身体を目指すように、決算書も含み損を抱えているのであれば、適正に会計処理をして正しい決算書を目指すほうが、経営の実態を表し、経営に活かせます。

もし、在庫や固定資産の評価損を認識せず、帳簿価格が不必要に膨らんでいると、「当社の在庫はこれだけあるのだ」「当社の土地や機械は価値があるのだ」など、経営において誤った判断をする恐れがあります。


メタボな決算書から健康でスリムな決算書へ

例えば下記の決算書の会社があります。

(単位:千円)
××/03 ××/03
流動資産
 現預金
 売掛金
 たな卸資産
 
300
800
600
流動負債
 買掛金
 短期借入金
 
 
1,000
300
 
流動資産合計   1,700 流動負債合計   1,300
固定資産
 有形固定資産
  建物
  機械設備
 無形固定資産
  ソフトウェア
 投資その他の資産
  敷金・保証金
  ゴルフ会員権
 
 
1,000
800
 
500
 
1,000
1,000
固定負債
 長期借入金
 
 
3,000
 
固定負債合計   3,000
純資産
 資本金
 資本剰余金
 利益剰余金
 
1,000
500
200
株主資本合計   1,700
固定資産合計   4,300 純資産合計   1,700
資産合計     6,000 負債・純資産合計     6,000

一見すると問題のない決算書ですが、良く調べてみると、次のようなことが分かります。

1.売掛金のうち300千円が回収できない
2.たな卸資産のうち200千円は評価損が必要
3.建物と機械設備はそれぞれ500千円、400千円減損が必要
4.ゴルフ会員権は500千円減損が必要
5.退職金を1,000千円と認識する必要


すると、この決算書はじつは以下のようになり、

 

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