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父が認知症に…どうする?遺産相続問題

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近年、高齢者の認知症の問題がクローズアップされています。

実際、2013年に公表された厚生労働省の調査によれば、65歳以上の高齢者のうち認知症の人は推計15%の約462万人。
発症の可能性のある400万人も含めると、4人に1人が認知症とその予備軍だという結果が出されました。

認知症には、記憶障害や見当識障害、徘徊などの症状があり、家族など介護者には大きな負担がのしかかります。
また、本人の失踪事件や鉄道事故、交通事故のニュースが報道されることも増えているようです。

警察庁の発表によると、2012年には認知症が原因で行方不明になったとの届け出があったのは9607人分。
そのうち231人は2012年中に発見できず、2013年に入ってから見つかったのは53人、死亡者は359人となっています。

もし、自分の親が認知症になってしまったら…どんな問題が起きてくるでしょうか?
介護問題のほかにも、遺産相続問題が起きてくる可能性があります。

問題の核心をチェック

実家を出て、それぞれ家庭を持っている長男、次男、長女の3人兄弟が遺産問題で悩んでいるようです。

父が75歳で認知症に。
実家は、地方で代々続く地主の家系で、父も数件の土地を先祖から相続して所有している。
不安なのは今後の財産の管理と相続について。
いつか悪徳業者にだまされてしまうのではないかと心配。
また、父は自分で判断できないため、遺産相続について、どう進めていいのかわからない。
兄弟は、いずれも家族を連れて実家に帰るわけにもいかず、仕事の関係もあってすぐに相続問題に対応できない状態。
早急に対応したいが、何をどのように進めていけばいいのか、わからない…。

リーガルアイ

高齢者や障害者などの財産管理や、生活支援をするための制度として、「成年後見制度」というものがあります。

成年後見制度には、認知症や精神障害、知的障害、頭部外傷による高次脳機能障害などで本人の判断能力が低下してしまったときのための「法定後見」と、本人が元気で判断能力があるうちに将来のリスクに備えて自分で後見人を選ぶ「任意後見」があります。

今回のケースのように、親が認知症の場合は、法定後見制度を利用するのがいいでしょう。

【法定後見】
判断能力が不十分な人がいる場合、家族などが家庭裁判所に審判を申し立てることで後見人が決定されます。

後見人は、本人に代って財産の管理や法律行為などを行います。

なお、後見人制度は、本人の判断能力の程度に応じて、「後見」、「保佐」、「補助」の3つに分かれていて、本人の事情に応じて選択できるようになっています。

「後見」
〇判断能力がまったくない人が対象。
〇申立てができるのは本人・配偶者・四親等内の親族・検察官・市町村長など。
〇後見人には、財産管理に関する全般的な代理権と取消権(日常生活に関する行為を除く)が与えられる。
〇制度を利用した場合、医師・税理士等の資格や会社役員・公務員等の地位を失う。

「保佐」
〇判断能力が著しく不十分な人が対象。
〇申立てができるのは本人・配偶者・四親等内の親族・検察官・市町村長など。
〇民法13条1項の掲げられている借金・訴訟行為・相続の承認や放棄・新築や増改築などについて、本人に不利益でないかを検討して、問題がない場合の同意権が与えられる。
〇取消権(日常生活に関する行為を除く)が与えられる。
〇制度を利用した場合、医師・税理士等の資格や会社役員・公務員等の地位を失う。

「補助」
〇判断能力が不十分な人が対象。
〇申立てができるのは本人・配偶者・四親等内の親族・検察官・市町村長など。
〇申立てにより、民法13条1項の掲げられている借金・訴訟行為・相続の承認や放棄・新築や増改築などの一部の同意権と、取消権(日常生活に関する行為を除く)などが与えられる。

後見人は、本人に代わって、所有している不動産の売却手続きをすることができますし、悪徳業者によるリフォーム契約の取り消しなどもすることができます。

【手続きなどでの注意点】
〇申立てには、申立書などの書類や本人の戸籍謄本、申立て手数料や登記手数料などが必要です。

〇法定後見を申立てる際、医師の診断書の添付を求められます。この診断書が、「後見」、「保佐」、「補助」の決定において重要視されます。

〇審判では、医師による鑑定を必要とする場合もあるため、選任までに数ヵ月かかることがあります。

〇後見人の選任は家庭裁判所が決定するため、申立て人の希望に沿うとは限りません。そのため、候補者として家族や親族を挙げていても、本人が必要とする支援などの内容によっては、たとえば候補者以外の人で弁護士や司法書士、社会福祉士、税理士などの専門職や、法律又は福祉に関わる法人などが選ばれる場合があります。

【後見人の役割や注意点】

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