税理士の先生より「顧問先が事実を隠した場合の税理士の責任」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。
質問
顧問先が事実を隠し、または虚偽の報告を税理士に行ったことにより脱税になってしまった場合、税理士は懲戒処分の対象となってしまうのでしょうか。
また、懲戒処分の対象となってしまった場合、税理士に損害が生じますが、その損害を顧問先に請求することは可能でしょうか。
回答
本件では、 3 つの問題が発生します。
⑴ 顧問先から税理士に対する損害賠償請求
⑵ 税理士の懲戒処分
⑶ 税理士から顧問先に対する損害賠償請求
⑴ 顧問先から税理士に対する損害賠償請求
東京地方裁判所平成24年12月27日判決は、
「税理士は、委任者の説明に基づき、その指示にしたがって申告書等を作成する場合にも、委任者の説明及び指示のみに基づいて事務処理を行えば足りるというものではなく、税務の専門家としての観点から、委任者の説明内容を確認し、それらに不適切な点があって、これに依拠すると適切な税務申告がされないおそれがあるときには、不適切な点を指摘するなどして、これを是正した上で、税務代理業務等を行う義務を負うと解される。」
と述べ、税理士の損害賠償責任を認めています。
そこで、顧問先が事実を隠した場合でも、税理士が隠匿事実や虚偽説明を推測可能であるときは、税理士は不適切な点を指摘する義務があります。
この義務を怠り、顧問先に重加算税などが課された場合には…
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