商号及び営業譲渡契約書
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この書式は、商号及び営業譲渡契約書のひな形です。
書式の一部抜粋(本文)
商号及び営業譲渡契約書
○○○○(以下「甲」という)と○○○○(以下「乙」という)は、商号及び営業譲渡に関し、以下の契約を締結した。
第1条(商号及び営業譲渡) 甲は、次の営業及び商号を代金○○万円をもって乙に譲渡し、乙はこれを譲り受けた。
一 甲が東京都○○区○○町○丁目○番○号にある店舗(以下「本件店舗」という)において経営する書籍販売業
二 甲が○○法務局に登記した右営業に使用する商号「○○」
第2条(譲渡財産) 前条の営業譲渡は、本件店舗に現存する商品、営業用動産、○局電話番号○番の電話加入権、本件店舗の畳建具等造作全部、得意先及び仕入先に対する権利その他営業上の権利一切並びに本件店舗の賃借権を包含する。
2 甲は、前項賃借権譲渡については、既に賃貸人の承諾を得たことを保証する。
第3条(引渡期日) 甲は、乙に対し、令和○年○月○日限り、本件店舗を明け渡すとともに、前条の物件全部並びに営業用帳簿及び書類を引き渡し、かつ、営業承継の諸手続きを完了しなければならない。
2 甲は、乙に対し、令和○年○月○日までに第1条の商号の譲渡登記及び乙は甲の営業によって生じた債務については責任を負わない旨の登記申請並びに第2条の電話加入権の名義変更の各手続をしなければならない。
第4条(代金の支払い) 乙は、令和○年○月○日限り、代金○○万円を甲指定の○○銀行○○支店・普通預金口座(口座番号○○○○○○○)に振込送金して支払う。ただし、振込手数料は、乙の負担とする。
第5条(善管注意義務) 甲は、本契約締結後引渡完了に至るまで、善良なる管理者の注意をもって譲渡財産の管理を行うものとする。
第6条(譲渡財産の変更) 甲が本契約締結後引渡完了に至るまでに、譲渡財産に重大な変更を加えようとするときは、あらかじめ乙と協議しなければならない。ただし、保存行為については、協議は不要とする。
第7条(公租公課の負担) 本件営業に関する公租公課は、本契約成立の前日までの分は甲の負担とし、その後の分は乙の負担とする。
第8条(事情変更) 本契約締結後引渡完了に至るまでの間において、天災地変、その他不可抗力により譲渡予定財産に重大な変動を生じた場合には、甲乙協議の上、本事業の有無、条件等につき変更することができる。
第9条(競業の禁止) 甲は、第1条1号に記載の東京都○○区○○町○丁目○番○号では20年間同一営業を営まない。また、同所以外の地では、乙に対し、不正競争の目的をもって同一営業をしない。
第10条(機密事項) 甲及び乙は、その知り得たお互いの内情については厳重に機密を保持し、これを他に漏らしてはならない。
第11条(契約解除) 甲又は乙は、相手方が次の各号の一つに該当したときは、何らの通知催告を要せず、直ちに本契約を解除することができるものとする。なお、この解除は損害賠償の請求を妨げない。
一 本契約に違反したとき
二 手形、小切手を不渡りにする等支払い停止の状態に陥ったとき
三 仮差押え、差押え、仮処分、競売等の申立を受けたとき
四 破産、民事再生、会社更生、特別清算等の手続申立を受け又は自ら申し立てたとき
五 その他本条各号に類する事実があるとき
第12条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己又は自己の代理人若しくは媒介をする者が、現在、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなったときから5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロまたは特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、および次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを相互に確約する。
一 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること
二 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること
三 自己、自社もしくは第三者の不正の利益を図る目的または第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること
四 暴力団員等に対して資金等を提供し、または便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること
五 役員または経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること
2 甲又は乙は、前項の確約に反して、相手方又は相手方の代理若しくは媒介をする者が暴力団員等あるいは前項各号の一にでも該当することが判明したときは、何らの催告をせず、本契約を解除することができる。
3 甲又は乙が、本契約に関連して、第三者と下請け又は委託契約等(以下「関連契約」という。)を締結する場合において、関連契約の当事者又は代理若しくは媒介をする者が暴力団員等あるいは1項各号の一にでも該当することが判明した場合、他方当事者は、関連契約を締結した当事者に対して、関連契約を解除するなど必要など措置をとるよう求めることができる。
4 甲又は乙が、関連契約を締結した当事者に対して前項の措置を求めたにもかかわらず、関連契約を締結した当事者がそれに従わなかった場合には、その相手方当事者は本契約を解除することができる。
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書式内で注意すべきポイント
注1 営業譲渡の意義については諸説あるが、多数説は、単に物又は権利のみならず、いわゆる老舗、のれん等の事実関係を含む組織的機能的一体としての事業財産を1個の債権契約によって移転することをいうものであるとしている。
営業譲渡の法律上の性質は、売買に類する混合契約となる。
注2 第1条及び第2条のように譲渡の対象を特定する。なお、契約に別段の定めがないときは営業に関する全ての財産が移転されたものと推定される。
注3 営業譲渡においては、譲渡の対象となる営業を構成する各個の財産について個別の移転手続きを経る必要があり、その移転についての第三者対抗要件を備える必要がある。
注4 土地、建物等の賃貸借契約は営業譲渡当事者間の合意のみでは足らず、当該契約の相手方(賃貸人)の同意が必要である(民法612条)。もっとも、営業譲渡においては、営業の同一性が著しくそこなわれそれによって当該不動産の使用状況に著しい相違ないし損耗が生じないと考えられるかぎり、背信行為的行為と認められず、賃借権の無断譲渡を理由とする解除権が発生しない場合もあるであろう。
注5 商号の譲渡は、当事者間の合意によって効力を生ずるが、既登記商号の譲渡は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
注6 譲受人が譲渡人の商号を続用する場合には、譲渡人の営業によって生じた債務について譲受人も弁済の責に任じなければならないが(商法17条1項、会社法22条1項)、営業譲渡後遅滞なく譲受人が譲渡人の債務につきその責に任じない旨の登記をした場合は、この限りでない(商法17条2項前段、会社法22条2項前段)。なお、この登記は、譲受人の申請によってなされるが(商業登記法31条1項)、当該登記の申請書には、譲渡人の承諾書を添付しなければならない(商業登記法31条2項)。
注7 事業譲渡日まで譲渡人が営業を行う場合には、その事業継続中に譲渡財産に変更を生じる可能性があるので、第6条のような規定を入れておく。
注8 契約締結後譲渡財産の引渡完了までの間に不測の事変により譲渡財産が滅失毀損する場合もあるから、その場合の処理を第8条で規定している。
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