社員から退職届を受けとりました。
就業規則では「退職届の提出は退職日の60日以上前」と規定されているにも関わらず、提出されたのは3週間ほど前でした。これでは後任の採用や引き継ぎまであまりにも時間が足りません。
就業規則違反として退職届を返却することはできますか?
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【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
就業規則における退職の規定では、通常、自己の都合により退職する場合は、「退職する日の30日前までに」というような内容が一般的となっています。
しかし、労働基準法には具体的日数の定めはなく、解雇予告については第20条に、「解雇しようとする場合は、少なくとも30日以上前に予告するか、(以下省略)」と規定がある程度です。
これに対し、民法では日給月給制(あるいは日給制、時給制)の場合、「解約の申し入れから2週間を経過することにより終了」とあるため、、就業規則に60日以上前と規定されていても退職届の返却は難しいでしょう。
仮に、これが30日以上前であっても、民法との関係で、退職届の返却や退職日の引き延ばしはやはり難しいかもしれませんが、ご質問にあるように、引き継ぎ等の期間を考えれば30日というのは合理的な期間の範囲にあると思います。
それでも明確な基準が労働基準法や労働契約法に規定されていないので、リスクを冒してまで引き留めるようなことは余程の事情がない限り避けるべきでしょう。
なお、完全月給制の場合は、①賃金計算期間の前半に退職の申し出があった場合は、賃金計算期間の末日に退職することが可能であり、②賃金計算期間の後半に退職の申し出があった場合は、その次の賃金計算期間の末日まで退職することができません。
また、年俸制のような6か月以上の期間で賃金が決められるような場合は、3か月前に退職の申し出をしなければならない旨が民法に規定されています。
完全月給制や年俸制であっても、退職の意思表示を明らかにしているような社員を無理に引き留めたりしてもメリットはないと思います。
退職させてもらえない会社とトラブルになっている例もよく聞きますが、