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相続税のタワマン節税の効果と国税当局が規制する可能性を解説

相続税には、相続財産を不動産に変える節税方法があります。

タワーマンションを利用した通称「タワマン節税」は、不動産を活用した相続税対策の中でも特に節税効果の高い手法として注目されていますが、国税当局がタワマン節税を規制する可能性が出てきました。

本記事では、タワマン節税の効果と国税当局の対応、そして税制改正で規制される可能性について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

マンションの相続税評価額の計算方法

不動産は、土地と建物で相続税評価額の計算方法が異なり、マンションも戸建て住宅と同様、土地と建物の評価額をそれぞれ算出しなければなりません。

マンションの敷地の評価方法

土地は、国税庁が公表している路線価に面積を乗じて評価額を算出する「路線価方式」と、固定資産税評価額に評価倍率を乗じて算出する「倍率方式」の2種類あります。

路線価方式と倍率方式のどちらを用いるかは、評価対象地の所在する地域ごとに指定されており、算出される相続税評価額は時価の8割程度とされています。

そのため現預金を土地に変えるだけで、相続財産の価値を2割程度下げることができます。また不動産を貸付用として利用していれば評価額を更に下げることも可能です。

一方、マンションの土地は敷地全体を共有で保有している状態にありますので、マンション全体の土地の価値を計算してから、所有している土地の敷地権割合を乗じて評価額を算出します。

敷地権割合は、売買契約書や登記事項証明書で確認できますので、相続税評価額を計算する際は事前に用意してください。

区分所有している建物の評価方法

建物については、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。

固定資産税評価額は建物が所在する市町村が設定しますが、相場よりも低い価額が固定資産税評価額として設定されていることが多いです。

また固定資産税評価額は、固定資産税評価証明書か固定資産税の納税通知書で確認できますので、相続が発生しましたら、建物の所在する市町村に証明書の発行申請をしてください。

タワマン節税は時価と相続税評価額の差額を利用した節税術

タワーマンションは時価と相続税評価額との差が顕著で、時価に対して相続税評価額が3割程度になるマンションもあります。

土地の相続税評価額は1㎡当たりの単価に面積を乗じて計算するため、面積が狭いほど評価額は低くなります。

マンションの敷地面積は、建物を区分所有している面積等に応じて敷地権割合が割り当てられていますので、区分所有者の数が多いマンションほど、1人当たりの敷地権割合は小さくなります。

特にタワーマンションは多くの方が所有者として存在するため、標準的なマンションに比べて土地の所有面積は小さくなりますので、土地の評価額をより抑えることができます。

建物の固定資産税評価額は、建物の構造や建築年数を加味して算出されるので、建物が古くなる分だけ固定資産税評価額は下がりますし、土地と違い固定資産税評価額が上がることはありません。

しかしマンションの時価は建築年数よりも立地が重視されるため、古いマンションでも時価相場が上昇することもあることから、建物の時価と相続税評価額に差が生じやすいです。

国税当局がタワマン節税を否認したケース

タワマン節税は合法的な節税手段ではありますが、国税当局が税務調査でタワマン節税を否認した事例も存在します。

相続財産を評価する際に用いる財産評価基本通達では、「この通達の定めにより難い場合の評価」(財産評価基本通達6)として、財産評価基本通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる場合、別の手段を用いて評価額を算出することとしています。

令和4年(2022年)4月19日の最高裁では、原則的な方法でマンションの相続税評価額を算出した納税者側の評価方法ではなく、財産評価基本通達6に基づいて計算した国税当局の評価額を相続税評価額とする判決が下されました。

令和4年の最高裁判決は個別事情が強く関係しており、タワマン節税自体が否認されたわけではありません。

そのため、タワーマンションを通常の土地・建物と同様の方法で評価したとしても、評価方法が適当であると判断される余地は十分に残されています。

一方で、国税当局がタワーマンションを利用した節税に厳しい対応をしていることも事実ですので、タワマン節税を行うかは慎重に判断する必要があります。

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