マタハラ防止措置に関する指針が出され、その運用が2017年より始まるとのことですが、内容はどのようなものなのでしょうか?
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
「改正男女雇用機会均等法」が2017年1月よりスタートすることになり、職場における妊娠・出産等を理由としたハラスメントであるマタニティーハラスメント(マタハラ)に対する企業の対応が義務とされました。
これに関して、厚生労働省が指針を出しました。
その中で主な内容を日本経済新聞の記事(2016年7月23日)より抜粋してご紹介します。
・加害者は懲戒処分の対象になることを就業規則に明記
・相談や調査への協力を理由に不利益な扱いをしないことを就業規則に明記
・相談窓口を設け、人事部門と連携
・相談者のプライバシーを保護
・被害を確認したら加害者に謝罪させ、被害者の心のケアなどに取り組む
・再発防止のための研修の実施
じつは、改正前も妊娠や出産等に関する不利益取り扱いは禁止されていました。
ただ、それはあくまでも「事業主」に対して禁止されていたもので、改正後は事業主に加え新たに「上司・同僚」も対象となり、上司・同僚からのマタハラ防止措置が事業主に課せられます。
指針では、上司によるマタハラの典型例が次のように挙げられています。(同じく、日本経済新聞の記事より一部抜粋)
1.妊娠した女性社員に上司が解雇などを示唆
2.社員が妊娠、出産に関する社内制度の利用を相談したところ、上司が利用しないよう求めた
また、「加害者が懲戒処分の対象となることを就業規則に明記」とありますが、セクハラやパワハラについてはすでに就業規則に明記している企業が大多数だと思います。
今回は、これに加えてマタハラに関する内容を追記する必要があるので、就業規則の改定と所轄労働基準監督署への届出をしなければなりません。
相談窓口の設置やプライバシー保護も懲戒と同様にセクハラ・パワハラ対応で実施済かと思われるので、企業の負担はさほど気にならないでしょう。
さらに指針では、