平成30年度の税制改正で、固定資産税の特例措置に代わる制度についての改正があるようですが、その具体的な内容を教えてください。
【この記事の監修者】 讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
今回(平成30年度)の税制改正には、現行法の償却資産に係る固定資産税の特例措置を2019年3月31日で廃止し、新制度が創設されることが盛り込まれています。
これは、中小企業の労働生産性向上のためとしていますが、その内容について具体的に解説していきます。
目次
現行法と新制度の違い
償却資産に係る固定資産税の課税標準額の特例率(軽減率)が現行法は一律1/2に対し、新制度は0%~1/2の範囲で市町村等の条例で決められ、弾力性を持たせています。
新制度の適用期間
法令の施行日~2021年3月31日の間に取得された固定資産について適用されます。
新制度の対象者
中小企業者等(資本金1億円以下の法人、従業員数1000人以下の個人事業主及び資本金を有さない法人)のうち、市町村等から先端設備等導入計画の認定を受けた者。
先端設備等導入計画の受けるための条件
労働生産性が年平均3%以上向上すること。
償却資産の要件
次の4つの要件を満たす必要があります。
(1)対象設備
償却資産の種類 | 取得価額 | 販売開始時期 |
機械装置 | 160万円以上 | 10年以内 |
測定工具及び検査工具 | 30万円以上 | 5年以内 |
器具備品 | 30万円以上 | 6年以内 |
建物付属設備 (家屋と一体となって効用を果たすものを除く) | 60万円以上 | 14年以内 |
(2)生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が旧モデル比で年平均1%以上向上すること。
(3)生産、販売活動等に直接使用されること。
(4)中古資産でないこと。
特例措置を受ける流れ
(1)中小企業者等が商工会議所や商工会等と連携して、先端設備等導入計画を作成する。
(2)上記(1)の先端設備等導入計画を市町村等に申請する。
(3)市町村等は導入促進基本計画を策定、国と協議して同意を得る。
(4)市町村は先端設備等導入計画の認定、中小業者等に対して固定資産税の優遇を行なう。
設備導入に伴い受給できる補助金
種類 | 概要 |
ものづくり・サービス補助金 | 中小企業のロボット導入など生産性の大幅な向上を図る設備投資を支援 |
持続化補助金 | 小規模事業者が、商工会・商工会議所と経営計画を作成し、販路開拓等を支援 |
サポイン補助金 | 中小企業が大学・公設試等と連携して行なう研究開発、試作品開発及び販路開拓を支援 |
IT導入補助金 | 中小企業のIT導入により、バックオフィス業務の効率化や売上向上を支援 |
補助金の圧縮記帳
補助金収入は受贈益として益金に計上しますが、国庫補助金の圧縮記帳の特例により、同額を圧縮損として損金計上ができます。
その場合、圧縮損を減価償却資産の取得価額から控除します。
なお、これは消費税の軽減税率の補助金にも適用できます。
詳しい解説はこちら⇒https://myhoumu.jp/zeimu46/