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飲食店のまかないは経費になるか?判断基準と留意点を解説

飲食店が従業員に提供する「まかない」が経費として計上できるかは、ケースによって異なります。

まかないの提供方法によっては、税務調査で経費計上が否認される可能性があるため、経費に該当する範囲を確認しておくことが重要です。

本記事では、税務上のまかないの取扱いと経費計上の判断基準、注意すべきポイントについて解説します。

飲食店のまかないは経費になる?ならない?

従業員向けのまかないでも、経費にならないケースもありますし、場合によっては従業員の税負担が増加する可能性もあるので注意が必要です。

まかないの定義

まかないとは、飲食店が従業員向けに提供する食事のことで、勤務中や休憩時間中に摂取されるものを指します。

飲食店では、余った食材等を利用して調理することが一般的ですが、税務上は従業員に対する現物給与として扱われる可能性があります。

現物給与は、給与を金銭以外の物品や権利で支給するものをいい、自社製品の社員割引や社宅の提供も現物給与に該当します。

一方、福利厚生の一環として提供されるまかないは現物給与に該当しないため、福利厚生として運用すれば節税につなげることが可能です。

現物給与と福利厚生費の違い

現物給与は、従業員の給与として扱われるため、所得税や社会保険料の課税対象となります。

事業者は、現物給与に対して源泉徴収を行う必要があり、適切な処理がなされていない場合、税務調査で指摘される恐れがあります。

一方、福利厚生費は従業員への福利として提供される費用であり、一定の条件を満たせば所得税の非課税対象となるため、従業員の所得には影響しません。

また、事業者は福利厚生費を経費として計上できるため、まかないが現物給与と福利厚生費のどちらに該当するかで税務上の取扱いが大きく変わります。

まかないの経費計上が認められるケース

次に該当するまかないは、経費として計上することができます。

従業員の福利厚生としてのまかない

まかないが従業員の健康管理や働きがい向上を目的として提供される場合、福利厚生に該当するため、経費計上が認められます。

ただし、特定の役員や従業員のみを対象としたまかないは、福利厚生の枠から外れ、福利厚生費とは認められない可能性があります。

給与課税されない「まかない」の範囲

役員や従業員に支給する食事は、以下の2つの要件を満たせば給与として課税されません。

  • ・役員や従業員が食事の価額の半分以上を自己負担していること
  • ・「食事の価額-役員や従業員の負担額」が、1か月当たり3,500円以下であること

上記の要件を満たさない場合、食事の価額から役員や従業員の負担額を差し引いた残額が給与として課税されます。

たとえば、1か月の食事費が5,000円のケースで、従業員の自己負担額が2,000円の場合、負担割合は半分未満ですので、差額3,000円は給与課税の対象です。

3,500円以下かどうかの判定は、消費税・地方消費税を除いた金額で行い、10円未満の端数が発生した場合は切り捨てます。

残業・夜勤時のまかないの取扱い

食事を支給するのではなく、現金で食事代の補助をするときは、原則として補助額の全額が給与として課税されます。

ただし、深夜勤務者に夜食の支給が困難な場合については、支給額が1食当たり300円(消費税および地方消費税を除く)以下であれば、課税対象から除外されます。

また、残業または宿日直を行う際に支給する食事は、無料で提供しても給与として課税されません。

まかないを経費計上する際の注意点

従業員に提供する全部のまかないが、自動的に経費として認められるわけではありません。
まかないが業務と直接関連しない個人的な飲食費と判断されれば、経費が否認されるリスクがあります。

個人的な飲食とみなされるもの

従業員個人の嗜好や私的な目的で提供される食事は、 経費として認められません。

また、従業員の家族や友人に提供したまかないも、否認されるリスクがあるため注意が必要です。

さらに、提供する食事が高額な場合は、福利厚生の範囲を逸脱するとみなされるため、まかないに関する社内規程を整備しておくことが望ましいです。

税務調査で問題になりやすいポイント

税務調査でまかないの経費計上を否認されないためには、福利厚生の一環として提供したことを証明する必要があります。

提供記録や購入履歴、社内規程の整備が不十分な場合、経費として認められない可能性があるので注意してください。

また、まかないが現物給与と認定されると、従業員の所得として扱われるため、福利厚生として提供していることを示す準備を徹底することが重要です。

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