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今年の3月、酒に酔った男が、よりによって線路上で自動車を走らせるという、とんでもない事件が起きました。
自動車は、線路を走るものではないことは幼稚園児でも知っているはずですが、一体何が原因だったのでしょうか。
事件を法律的に解説していきます。
事件はこうして起きた
「軽乗用車が線路を300m走行 男性飲酒運転も道交法適用できず」(2014年3月24日 京都新聞)
滋賀県大津市の京阪電鉄石山坂本線の線路内で、軽乗用車を押している男性を通行人が発見。大津署に通報しました。
調べによると、男性(43)の呼気から基準値以上のアルコールが検出。
現場となった浜大津駅は通常の線路と路面電車の線路が交差する場所で、男性は同駅付近の道路から線路に侵入し、約300m走行して止まったとみられますが、男性は「覚えていない」と供述しているようです。
同署は、「線路内は道交法の飲酒運転が適用できない」としており、線路進入以前の路上での飲酒運転容疑で調べる方針とのことです。
なお、車の撤去のため始発の上下計2本が最大約8分遅れたということです。
リーガルアイ
警察としては、線路内では、「道路交通法」の飲酒運転が適用できないため、男性は線路に進入する前に道路交通法上の道路を飲酒運転したはずだから、そこで検挙しようと判断した、ということなのでしょう。
「自動車が線路内を走る場合は、飲酒運転をしてはならない」などとは、法律では初めから禁止はしません。
「道路交通法」は、あくまでも道路における安全や円滑な進行などを守るための法律ですから、線路内のことは想定されていないからです。
ところで、「飲酒運転」という言葉はよく使われますが、じつは飲酒運転には、「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2つがあります。
【酒酔い運転】
アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態、と定義されます。
罰則は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金。
違反点数は、35点で免許取り消しとなり、3年間は免許取得不可となります。
【酒気帯び運転】
たとえ正常な運転ができたとしても、基準値以上のアルコールを帯びて運転することです。
罰則は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。
違反点数は、呼気1リットル中のアルコール濃度が、0.15mg以上、0.25mg未満の場合の違反点数が13点。0.25mg以上の場合は25点となっています。
ちなみに、飲酒検知を拒否した場合、「3ヵ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」になりますので注意してください。
さて、電車の運行を遅らせてしまった場合、警察ではなく鉄道会社に対して別の問題が発生してきます。
損害賠償の問題です。
鉄道会社としては、走らせるべき電車を走らせることができなかったために被った損害、たとえば乗車券や定期券の払い戻し代、振替輸送代、乗客対応の人件費などを賠償請求することができます。
また、駅設備や車両が被害を受けた場合は、修理代や清掃代などを損害賠償金として請求することができます。
今では都市伝説化していますが、電車への飛び込み自殺では遺族が莫大な損害賠償金を請求されるという話を噂として聞いたことがある人もいるでしょう。
実際、本人が亡くなっている場合は賠償金を支払えないので、その相続人(家族や親族等)が負債を相続することになります。
自殺をすると、残された親族が多額の賠償請求をされる可能性がある、ということです。
なお、今回は適用されていませんが、電車の運行を故意に邪魔しようとして