「機会損失」という言葉を目にしますが、ビジネス上ではどういう意味でしょうか?
また、場合によっては法的な問題、たとえば損害賠償などにも関係してくるものでしょうか?
機会損失とは、得られる機会(利益)を失った損失のことです。
ビジネスでは、とても重要な概念です。
機会損失の発生はビジネス上の大きなリスク
会計に難解なイメージを持つ方がいますが、その理由のひとつに言葉や用語が難しい、ということがあると思います。
その代表例がこの機会損失です。
ですが、これは経営判断上、知っておくべき用語なので、ぜひマスターしましょう。
この機会損失ですが、漢字をよく見てください。
これは、本来ならば得られるはずの機会(利益)を得られなかったことによる損失を意味します。
たとえば、お弁当屋さんがお昼前に弁当を売り切ったとします。
そうすると、稼ぎ時であるお昼に販売すべき弁当がなく営業することができません。
もし、多めにお弁当を用意しておけば得られたはずの機会(利益)が得られなかったため、機会の損失=機会損失と呼ばれるのです。
また、ラーメン屋さんが早い時間にスープや具材の品切れにより閉店をすることも機会損失が生まれた事例です。
ビジネスにおいては、商品を余らせる=過剰在庫=廃棄損が出る、ということで完売するのはいいことではないか、という見方ももちろんあります。
しかし、お客様の立場に立ってみると、お店に行ったのに買いたい商品がない、食事をするためにお店に入ったのに売り切れメニューばかりで注文できるものがない、という事態ですと、お客様は2度とお店に来てくれなくなるでしょう。
大量の廃棄損が出ることは大問題ですが、機会損失が出ることは将来のお客様の来店の可能性も失ってしまうことから、より一層の問題であると意識して下さい。
ビジネスでは、新規のお客様を獲得するよりも既存のお客様に何度も来てもらう方が容易です。
もし、既存のお客様1人を失えば、その方から周りの友人などにあなたのお店の評判が伝わる可能性もあり、悪影響は測り知れません。
また、失ったお客様に変わる新規のお客様の獲得にかける時間やコストを考えると、機会損失を発生させて既存のお客様を失うことが大きなリスクであることが実感していただけるのではないでしょうか。
ぜひ、自社のビジネスにおいて機会損失が出ないよう、需要を見極めてビジネスを展開していきましょう。
機会損失では逸失利益による損害賠償のリスクに注意
次に法的な面から機会損失について考えてみましょう。
じつは、機会損失が損害賠償問題に発展することがあります。
「民法」
第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
たとえば、A社がB社にある製品の発注を依頼したとします。
しかし、B社の生産が滞り、契約の納期までに納品できなかった場合、A社はその製品を販売することができないのですから売り上げを上げることができません。
つまり、機会損失により損害を被ることになります。
その際、A社はB社に対して損害賠償を求めて訴訟を提起することができますが、争点となるのはA社が被った逸失利益になります。
逸失利益とは、本来は得られるべきであったにも関わらず、債務不履行による契約違反や不法行為などが発生したことによって得ることができなくなった利益です。
A社とB社にとって取引ができなかったことで発生した機会損失は、その後どのような逸失利益へと発展したかわかりません。
大きなビジネスチャンスを逃してしまったかもしれないのです。
しかし、この逸失利益の算出と確定は容易ではありません。
また、