棚卸資産(在庫)を使った不正会計には、どのようなものがあるのでしょうか?
【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
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在庫の適正な評価をせずに、損失を先送りする不正があげられます。
商売をするには、まず提供する商材を仕入れる必要があります。
自動車でも不動産でも飲食店でも、当然、売るべき商材がなければ商売は始まりません。
そして、会計上、在庫については毎期評価が求められます。
ところで、「評価損」が発生した場合、それは臨時な場合を除き販売目的の在庫から生まれた評価損なので、売上原価として評価損を認識する必要があります。
当然、経営者としては、「売れると思って仕入れたのだから評価損など不要」という態度を取ることも少なくありません。
しかし、、適正な価格で売れない在庫が滞留することは「不適切な会計処理」ですし、意図的に評価額を誤魔化せば、それは「不正」といえるでしょう。
また、あまり知られていないのですが、じつは在庫が増えると会計上は利益が増えるのです。
たとえば、ある簡易な損益計算書を例にとって見てみましょう。
損益計算書の構造は下記のようになっています。
【簡易 損益計算書】
売上 1,000
売上原価 300
売上総利益 700
販売費および一般管理費 500
営業利益 200
売上原価は、期首と仕入高と期末在庫の差額で計算されます。
【期首在庫+期中仕入れ△売上原価=期末在庫】
期首の在庫 200
期中の仕入れ分 500
期中の販売分=売上原価 300
期末の在庫 400
さて、もう一度、期末在庫の計算式を見てみましょう。