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家にごみをため込み、さらには家からあふれ出したごみが道路にまで広がっている…そんな「ごみ屋敷」の報道を目にした人もいるでしょう。
近隣住人の誰もが大迷惑。
それにも関わらず、「これは資源だ」と言い張ったり、「片付ける」と約束したものの、そのままで何もしない住人。
結局、隣人や地域の住民が困惑している、ということが全国各地で起きているようです。
そこで今回は、厄介な隣人トラブルの中から、「ごみ屋敷問題」について解説します。
事件はこうして起きた
「自宅前の道まであふれるごみ…京都市が“ごみ屋敷”の50代男性に勧告」(2015年7月22日 産経新聞)
ごみのため込みなどで、近隣住民の日常的な通行の妨げになっていることから、京都市は、条例に基づいて文書指導していた市内の50代の男性について、ごみが解消されなかったとして勧告を行った。
市は引き続き、男性に支援を行っていくが、今後、ごみが撤去されない場合、有識者からの意見を聴きながら命令、さらには行政代執行も検討していくとしている。
リーガルアイ
【ごみ屋敷を巡るさまざまな法的問題】
ごみ屋敷問題の難しさはさまざまあります。
まず法的に見ると、直接的に適用できる法律がないという問題があります。
たとえば、「廃棄物処理法」で対応している場合もありますが、個人宅のごみは対象外のため、行政の対応は後手に回っています。
また、「道路交通法」の第76条では道路における禁止行為を規定しているため、敷地内から周囲の公道にごみがあふれ出ている場合などは、3項の「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。」の適用も考えられますが、限定的な効果しか見込めないのが現状です。
さらに「財産権」が、ごみ屋敷問題を複雑にしています。
「日本国憲法」
第29条
1.財産権は、これを侵してはならない。
個人の財産権が憲法により保障されているため、明らかに“ごみ”と思えるものであっても、第三者が私有地である個人宅や敷地から持ち出せば、「私有財産権の侵害」につながるおそれがあるのです。
【各自治体の条例で規定される行政代執行とは?】