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完成工事売上における不正計上の手口とは?


工事進行基準において、完成工事売上を悪用した不正会計の事例があれば教えてください。


【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
http://www.eguro-cpa.com/

ここ数年の不正会計事例の中でも、東芝の不正会計は記憶に新しいかと思います。

その不正会計の中に工事進行基準の不正処理がありましたが、最近またある企業で工事進行基準を悪用した不正会計があったので紹介したいと思います。

さて、この工事進行基準ですが、「工事契約に関する会計基準」という基準に基づきます。
そして、この会計基準では「工事進行基準」と「工事完成基準」の2つの処理を定めています。

【工事進行基準】
工事契約に関して、工事収益総額、工事原価総額、及び決算日における工事進捗度を合理的に見積もり、これに応じて当期の工事収益及び工事原価を認識する方法

【工事完成基準】
工事契約に関して、工事が完成し、目的物の引渡しを行った時点で、工事収益及び工事原価を認識する方法

工事進行基準を適用するには、工事の収益総額や工事原価総額、決算日における工事進捗度をしっかりと見積もる必要があります。
そのため、見積りの正確さが高い信頼度で求められます。

実務では、工事期間が長く、工事契約金額が多額な工事については工事進行基準で会計処理をし、工事期間が短く、工事契約金額も少額な工事については工事完成基準を適用することが多いです。

こうしてみると、工事進行基準は、①工事収益総額、②工事原価総額、③決算日における工事進捗度、の3点を高い信頼性で見積もる必要があるため実務上適用が大変ですし、監査する方も大変です。

今回、取り上げる会社は、鉄鋼・化学関連のプラント工場を運営しています。
そして、工事進行基準について次の計上等を行いました。

①完成工事高(売上)の繰延計上
②完成工事高(売上)の先行計上
③完成工事原価の付替

不正会計では、②の完成工事高先行計上はよく見る事例です。
ここで、①のように売上をわざわざ繰延計上した(本来あるべき計上時期よりも後に完成工事高を計上した)のは、この企業には「工事ごとの原価率を平準化する」という目的があったからです。

というのも、

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