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子供が起こした事故の高額賠償金、あなたは支払えますか?

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子供が起こしてしまった事故。

中には、高額の損害賠償金請求にまで発展してしまうケースもあります。

一体、誰が支払う義務があるのでしょうか?

問題の核心をチェック

通常、学校(保育所)の管理下における事故、災害では、学校が加入している日本スポーツ振興センターから災害共済給付金(医療費、障害・死亡見舞金)が支払われます。

学校の管理下とは、授業中(保育所における保育中を含む)、部活動や課外授業中、休憩時間(始業前、放課後を含む)、通学(通園)中をいいます。

ただ、ケガの度合いによっては、この給付金だけでは損害賠償額を全て賄うには足りないことが多いのが実情です。

たとえば小学校で、3年生のA君がB君に大ケガをさせてしまった場合、B君側は、給付金だけでは足りない分の賠償金や慰謝料を誰に請求すればいいのでしょうか?

A君でしょうか、A君の親でしょうか、それとも学校でしょうか?

リーガルアイ

A君は、まだ小学3年生です。賠償金を支払う資力があるとは思えません。

では、A君の親はどうでしょうか。

法的には、未成年者の損害賠償責任については、その未成年者に物事の是非善悪を理解する能力がある場合には、その未成年者本人が賠償義務を負い、その能力がない場合には親などが責任を負う、とされています。

その能力は、11~12歳くらいが境界線とされています。

おそらく、A君の責任能力は否定されて、親の責任が問われることになるでしょう。

また、学校は親に代わって子供を監督する立場であるため、代理監督者責任があります。

教職員の故意または過失によって生じた事故では、その使用者として学校が損害賠償義務を負うことになります。

ところで近年、子供が起こした事故で親が多額の損害賠償を求められるケースが増えています。

そのひとつが、自転車による事故です。

被害者に重大な障害が残ったり、死亡したり、というケースが増えています。

未成年者による自転車事故で、多額の賠償金が認められた裁判例を挙げてみます。

赤信号で交差点の横断歩道を走行していた男子高校生が、男性(当時62歳)が運転するオートバイと衝突。男性は頭蓋内損傷で13日後に死亡。賠償金額は約4,043万円。親の監督責任は求めなかった。

平成17年9月14日 東京地方裁判所・自保ジャーナル1627号

15歳の中学生が日没後、幅員が狭い歩道を無灯火で自転車走行中、反対側歩道を歩行中の男性(当時62歳)と正面衝突。男性は頭部を強打して死亡。賠償金額は約3,970万円。母親の監督責任は否定された。

平成19年7月10日 大阪地裁判決 交民集40巻4号866頁

男子高校生が自転車横断帯のかなり手前から車道を斜めに横断。対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(当時24歳)と衝突。男性は言語機能の喪失等、重大な障害が残った。賠償金額は約9,266万円。親の責任は求めず親が支払約束したと請求したが、請求は棄却した。

平成20年6月5日 東京地方裁判所判決・自保ジャーナル1748号

こうした中でも、平成25年7月に自転車事故を起こした少年(当時11歳)の母親に約9,500万円の損害賠償命令が出された、神戸市の自転車事故のケースは大きな話題になりました。

平成20年9月22日、神戸市の住宅街の坂道で少年がマウンテンバイクで走行中、知人と散歩をしていた女性に正面衝突。女性は頭を強打し、意識不明のまま現在も寝たきりの状態が続いているとのことです。

世間では、この金額に対して賛否両論の意見がありました。

確かに、金額だけを見れば驚く人も多いでしょうが、被害者の状況と過去の裁判例から見ていけば、高額すぎるとはいえません。

突然自転車に衝突され、寝たきりになったことで人生を狂わされたのだから、その慰謝料もあるでしょう。また、今後働いて得られたはずの収入もあるでしょうし、寝たきりであれば介護費用の負担もあります。

損害額は1億円を超えてもおかしくはありません。

しかし現実的に、一般の家庭ではこれほどの金額は簡単に支払えるものではないでしょう。

仮に、加害者である子供の親が自己破産してしまえば、被害者は賠償金を回収できなくなってしまいます。これからも続くであろう介護の費用は、どうすればよいのでしょうか?

自転車については、自動車の自賠責保険のような強制保険制度がありませんし、自転車事故における任意保険制度は、現状とても脆弱です。

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