子供の頃、道端などで10円などの硬貨を拾ったことがある人もいるでしょう。
交番に届けて、警察官から「偉いな」などとほめられると、子供ながらに何かいいことをした気分になったという経験がある人もいると思います。
ところが、それが高額なお金だった場合、どうでしょうか?
大人になったあなたなら、どうしますか?
今回は、少し古い報道ですが、ある事件を元に落とし物に関わる法律について解説します。
事件はこうして起きた
「電話ボックスに100万円 茨城・小美玉市のスーパー」(2014年8月19日 産経新聞)
茨城県小美玉市内のスーパー敷地内にある電話ボックスで、開店前の清掃作業をしていた従業員が現金100万円を発見。
翌日、報告を受けた店長が110番通報をした。
現金は、電話機の近くにビニール製の筆入れとともに置いてあったという。
【落とし物に関する法律とは?】
落とし物に関する法律には、1899(明治32)年に公布された「遺失物法」というものがあります。
2006(平成18)年に表記を現代用語化する目的で全部改正されていますが、この中に拾得者の義務について定めた条文があります。
「遺失物法」
第4条(拾得者の義務)
1.拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。ただし、法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は、速やかに、これを警察署長に提出しなければならない。
子供でもわかることですが、落としものを拾った人は、速やかに持ち主に返却するか、警察に届けなければいけません。
これに違反すると犯罪になる可能性があります。
「刑法」
第254条(遺失物等横領)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
【落とし物は拾った人のものになる?】
ところで、「遺失物法」では、「報労金」についても定めています。
「遺失物法」
第28条(報労金)
1.物件(誤って占有した他人の物を除く。)の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格(第九条第一項若しくは第二項又は第二十条第一項若しくは第二項の規定に より売却された物件にあっては、当該売却による代金の額)の百分の五以上百分の二十以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。
たとえば、100万円を拾った場合で考えてみます。
警察に届け出て、その後に落とし主が見つかった場合、落とし主は拾った人に対して報労金として5%(5万円)以上、20%(20万円)以下を支払わなければいけないということになります。
なお、遺失物法の第29条により、報労金は遺失者(落とし主)に返還された後、1ヵ月を過ぎると請求できなくなるので、注意が必要です。
次に、遺失物の所有権について考えてみます。