定職に就かず、住む家も持たないホームレスたち。
彼らのような路上生活者は、ある面では自由なのかもしれませんが、じつは逮捕される可能性があるということについて解説します。
問題の核心をチェック
会社の倒産による夜逃げ、失業、自己破産、一家離散、アルコール依存症等の心身の問題、DV(ドメスティックバイオレンス)からの避難など、ホームレスになった理由は人によりさまざまである。
しかし、ホームレスが襲撃される殺害・傷害事件が各地で起きたり、ホームレス自身が犯罪行為に至る場合もあることから治安への不安なども懸念されている。
リーガルアイ
「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
四 生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの
軽犯罪法には、33個の軽微な秩序違反行為が規定されていますが、その中の4号にあるのが“浮浪の罪”とも呼ばれるものです。
この罪が成立するには、次の4つの要件が必要となります。
・生計を立てるための収入がない
・働く能力はある
・職業に就く意志がない
・一定の住居を持たない
ただし、労働することを法的に強制しているわけではありません。
条文に「諸方をうろついたもの」とあるように、“うろつき行為”が重大な犯罪につながる可能性があることから、まずは軽微な秩序違反行為を取り締まる軽犯罪法で禁止しているということです。
では、たとえば次のようなケースは浮浪の罪に問われる可能性があるでしょうか?
「ニートの場合」
働く能力はあるにもかかわらず、定職に就いていないニートと呼ばれる人たちの場合は、住む家があり、親から生活費をもらっているならば、浮浪の罪には該当しません。
「会社の倒産で夜逃げ・自己破産した場合」