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労働基準監督業務の民間活用で何が変わるのか?



労働基準監督署の監督官が行う業務の一部を、社会保険労務士等に委託する可能性が出てきたという話を聞きました。
なぜ、委託する必要が出てきたのでしょうか? 
また、委託することにより我々民間の会社にはどのような影響が出てくるでしょうか?


【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

2017(平成29)年5月8日に政府の規制改革推進会議が行われ、議題は「労働基準監督業務の民間活用タスクフォース」というものでした。

今回、労働基準監督官の業務の一部を、社会保険労務士等に委託することが検討されている経緯として、次のような現状があげられました。

①労働基準監督官による事業所への定期監督が3%程度であること。
②定期監督を行った事業場数のうち、約7割で違反があったこと。

※「定期監督」……違法の疑いがある事業場を計画的に選定し、予告なしで事業場に立ち入り、未払残業や就業規則や36協定の作成・届出等が適正に行われているか調査するもの。

つまり、多くの事業場で労働基準法等の違反があることが定期監督の結果でも明らかとなり、監督・指導の強化の必要性は認識しているものの、労働基準監督官のマンパワー不足により監督業務に支障が生じているのです。

業務の一部である「36協定」については、その協定の存在自体を知らない事業場が35.2%(平成25年の厚生労働省調査)に上り、業種別では小売・飲食店等の接客娯楽業においては締結割合が50%に満たないなど、労働基準法の基礎知識が理解されていないという根本的な問題があります。

そこで、労働基準監督官のマンパワー不足を補うために、社会保険労務士等に監督業務の一部を委託(民間活用)する提言がまとめられたのです。

もし委託が実現すると、今後どうなるでしょうか?

当然、今までよりも多くの事業場が定期監督の調査対象となる可能性が出てきます。
また、

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