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就業規則における昇給に関する規定の注意点とは?


当社は、毎年1回の「昇給」を実施してきましたが、今回、一部社員については成績が思わしくない等の理由により、金額は僅かであるものの 降給としました。
ところが、対象となった社員の一人から「降給は無効だ」との異議申し立てがありました。
当社の対応に何か問題があるのでしょうか?


【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

昇給は賃金テーブルが書き換えられ、賃金水準が一律に引き上げられる「ベースアップ」とは異なり、社員個々の業績・能力評価等によってその額が決定されるものです。

そのような性質から、高い業績を上げて大幅な昇給を勝ち取る方もいれば、昇給ゼロという場合もあるでしょう。

就業規則の昇給に関する規定では、「昇給については原則として毎年4月に実施する。ただし、会社の業績の著しい低下や、その他やむを得ない事由がある場合にはこれを延期し、または実施しないことがある。」としているものが多く見られます。

さらに、「昇給の額は、勤務成績等を勘案の上、個別に決定する。」とも規定されているかと思います。

貴社もこのような規定を根拠として、昇給の有無や昇給額を決定しているのでしょうが、ここで注意しなければならないポイントがあります。

それは、上記規定例で記載されている「昇給については…」のまさに「昇給」の部分です。

昇給=賃金アップであることは明らかであり、もし賃金をダウンさせた場合は昇給ではなく「降給」です。

つまり、この規定は賃金アップを前提としている昇給や、昇給そのものを実施しないというような内容でしかなく、会社の裁量で降給を実施することができないのです。

それでも、一部社員に対して降給させたいのであれば、根拠となる資料(業績や勤務態度・能力等の評価が公平かつ透明性をもって行なわれたといえる人事評価の内容等)を提示したうえで納得してもらい、書面による本人の同意を得なければならないでしょう。

そうすると、現実的には就業規則(賃金規程)の「昇給について」、「昇給の額は」の部分を改定し、「昇給または降給について」、「昇給または降給の額は」とするか、「賃金改定について」、「改定の額は」とするべきです。

なお、

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