当社では、正社員の他に複数の契約社員やパートタイマーが働いています。
それぞれの雇用形態に対応した就業規則は作成しており、労働条件も適切に定めていると思っていますが、先般、契約社員の手当に関する訴訟の判決があったと聞きました。
どのような内容で、今後どういう影響があるでしょうか?
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
「契約社員の手当に関する訴訟の判決」とは、平成30年2月21日に大阪地裁が日本郵政に対して約300万円の支払いを命じた事件ですね。
訴訟を起こしたのは郵便局に勤務する契約社員ら8人(退職者含む)で、正社員と同じような仕事をしているにもかかわらず、正社員との待遇差があるのは労働契約法違反(※)だとして未払賃金約3100万円の支払いなどを求めました。
※労働契約法第20条「不合理な労働条件の禁止」
原告が求めた具体的項目は扶養手当、住居手当、年末年始勤務手当、夏期手当及び年末手当(いずれも賞与のこと)、郵便外務業務精通手当、早出勤務等手当などの諸手当の他、病気休暇の取得などです。
判決ではこれらのうち、扶養手当、住居手当及び年末年始勤務手当については契約社員に支給しないことは不合理であるとして請求を認め、それ以外は認めませんでした。
扶養手当は、雇用形態にかかわらず、正社員であろうと契約社員であろうと家族を養うのであればその負担は同じであり、職務内容により左右されるものではないという判断です。
住居手当は、転勤のない一般職の正社員に対しても支給されていることから不合理であると判断されました。
年末年始勤務手当は、繁忙期における勤務に対して支給するという趣旨から、扶養手当と同じような判断がされました。
日本郵政側は大阪高裁に控訴したので今後どうなるか不透明ですが、地裁判決を踏まえると、同じように非正規社員を雇用している企業は、正社員と非正規社員との職務(業務)内容や責任度合について、客観的に明確な差があることがわかるようにしておくことが必要となるでしょう。
今回の判決で認められなかった手当や休暇の一部は、職務内容や責任度合に差があると判断されたことからも明らかです。
平成29年に