当社の給与支給日は、月末締め翌月25日払いです。
先日、月の途中に入社した社員から「残業代の計算が違うのではないか。残業単価も日割計算されていると思う」と問い合わせがありました。
これまで、月の途中で入社した社員に対する給与は、すべて日割計算により支給していましたが間違っているのでしょうか?
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
この社員の方の給与が下記の条件により支給されているという前提で、まずは基本的な確認をしておきたいと思います。
・月給制である。
・1日8時間、週40時間労働である。
・残業は、すべて通常の時間外労働のみである。
この場合の割増賃金額の計算式は次のとおりとなります。
月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 × 割増賃金率 ×(法定)時間外労働時間数
※月給には「割増賃金の基礎となる賃金から除外できる」家族手当、通勤手当等は含まれない。
※当社は中小企業であり、1か月の平均所定労働時間は160時間である。
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したがって、この方の月給が240,000円であるとき、月の時間外労働時間数が10時間であるなら割増賃金額は、
240,000円 ÷ 160時間 × 1.25× 10時間 = 18,750円
となります。
この計算は、貴社の給与計算の締日が末締めとなっていますので、1日付けで入社された場合には、この金額が算出され支給されるはずです。
では、入社日が1日以外(給与の一賃金計算期間の途中で入社した場合)ならどうなるでしょうか。
貴社においては、240,000円を日割計算した上で割増賃金額を計算されているとのことですから、時間外労働を10時間したとしても支給額は18,750円を下回ります。
しかし、この計算方法は認められていません。
労働基準法施行規則では、「月によって定められた賃金(=月給)は、その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1か月平均所定労働時間数)で除した金額」と規定されており、これに割増賃金率と時間外労働時間数を乗じたものが割増賃金額となります。
施行規則でいう「その金額」とは、「月によって定められた賃金」を指しており、簡単にいうなら「労働契約上の賃金により計算しなければならない」ということです。
そのため、