契約書のひな形、内容証明郵便書式、労務書式、
会社法議事録・通知書のテンプレートが無料

1か月平均所定労働時間の正しい考え方と計算方法とは?



当社では10年近くの間、残業代を計算する際の1か月間の所定労働時間を160時間で設定していました。
給与規程にもそのように明記されています。
ところが、社員の中から「所定労働時間の計算方法が違っているのではないか?」と指摘がありました。
何か間違っているでしょうか?


【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

もし、貴社の年間休日の日数が10年近くの間まったく変わっていなければ、計算の結果「問題ない」可能性もあります(※うるう年は考慮しないものとします)。

しかし、筆者の経験上、たまたま前年度と年間休日の日数が同じであることはあっても、永遠に同じであり続けることはないと思います。
そうした意味では、貴社が現在取られている1か月平均所定労働時間の計算方法は誤りであるといえるでしょう。

月給制の場合における1時間当たりの賃金計算方法は、次のように定められています。

1時間あたりの賃金=(基本給+諸手当)÷1か月平均所定労働時間数

この1時間当たりの賃金に、時間外や休日、深夜の割増率と残業時間数を乗じて割増賃金(残業代)の額を算出します。

なお、「諸手当」には条件を満たした家族手当、住宅手当、通勤手当、臨時の手当等は含まれません。

つまり貴社では、上記計算式の「1か月平均所定労働時間数」の部分を160時間で固定していることになりますが、1か月平均所定労働時間数は固定されるものではなく、1時間当たりの賃金と同じように計算方法が定められています。

1か月平均所定労働時間数=(365日-年間休日日数)×1日の所定労働時間÷12か月

※うるう年の場合は365日を366日とする。

例えば、ある年の年間休日日数が125日で、1日の所定労働時間が8時間である会社の1か月平均所定労働時間数は、
(365日-125日)×8時間÷12か月=160時間
となり、この場合は貴社が現在適用している時間と一致します。

ところが、翌年の年間休日日数が「働き方改革の一つだ!」と社長の鶴の一声により3日増え128日となった場合の1か月平均所定労働時間数は、158時間と変わるのです。

以上から、速やかに計算方法を現在の160時間固定から1か月平均所定労働時間数へと改めていただくとともに、給与規程も改定しなければなりません。

なお、

PREVNEXT

関連記事

中学校教師の夫が妻に暴力をふるって逮捕!?

昔から、「喧嘩(けんか)するほど仲がいい」ともいわれます。 しかし、たとえ夫婦の間でも、暴力をふるうことがあれば犯罪になる可能性があるとい...

会社合併のメリットとデメリットとは?

会社の合併は、何のために行うのでしょうか? また、そのメリットとデメリットを教えてください。 【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会...

税理士が作成した申告書は税務調査を受けにくい理由

税理士に申告書の作成依頼をした場合、税務手続きの作業量が軽減するだけでなく、税務調査を受ける確率が下がる効果も期待できます。 本記事では税目ごとの申告...