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退職者に仕事の引き継ぎをしてもらいたい場合の有給休暇の取扱いとは?

10日後に退職する労働者から、「明日から退職日までの間、有給休暇をすべて使わせてもらいたいので出社はしません」との申し出がありましたが、その労働者は仕事の引き継ぎを一切していません。そのため、仕事の引き継ぎのために必要な期間は出社してもらいたいのですが、可能でしょうか?

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解説

有給休暇に関しては、労働基準法39条に定めがあります。同条によれば有給休暇は原則として労働者の請求した日に与える必要があります。

その例外で「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」という時季変更権が認められていますが、有給休暇の時期を退職後に変更することはできませんので、本質問の場合、時季変更権の行使により出社を強制させることはできません。

では、有給休暇を買い取ることで有給休暇の取得を防ぎ、出社を強制できるかといえば、これもできません。
なぜなら、有給休暇とは労働者を休ませるためのものであって、買い取りは原則禁止だからです。

そのため、労働者本人に事情を説明して協力してもらう、すなわち有給休暇の取得を撤回して出社してもらうしかありません。

しかし、その場合には、労働者に対し、協力することによるメリットを与える必要があるでしょう。
多くは出社したことにより取得できなくなった有給休暇の買い取りを申し出ることになると思います。

労働契約関係が継続する場合は、有給休暇は現実に労働者を休ませるために買い取らずに残しておくべき必要があります。

しかし、労働契約が終了するのであれば、そもそも有給休暇は行使できなくなるところ、行使できなくなった有給休暇を買い取ることまで法律は禁じてはいないと考えられています。

よって、労働者と話し合いのうえで、出社日数分の給料の支払いと出社することによって行使できなくなる有給休暇の買い取りをするというのが一般的な対応だと思われます。

このような事態を防止するために、会社は、就業規則に退職届の提出日や業務引き継ぎに関する規定を設け、規定に違反したことを懲戒事由としたり、引継ぎなどをしっかりと行う職場風土を作っておく、また、有給休暇を消化しやすい雰囲気を普段から作っておくことも重要です。


退職日まで有給休暇を使用したいと労働者から申し出があった場合、会社は認めざるを得ません。

引き継ぎのために、どうしても出社してもらいたい場合は、職場の人たちや取引先に迷惑がかかるなどの理由を説明し、労働者と話し合って協力を求めるしかありません。

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